シングルマザーが使える10種類の手当と助成金|金額と申請方法ガイド

シングルマザーとして子育てをしながら、経済的な不安を抱えていませんか?
突然の離婚や死別によって一人で子育てをするようになると、収入が減少する一方で出費は変わらないという厳しい現実に直面します。
母子家庭 (シングルマザー) 向けの手当や支援制度は数多く存在しますが、どのような制度があるのか、いくらもらえるのかなど、情報が複雑で分かりにくいと感じている方も多いでしょう。
当記事ではシングルマザーが受け取れる手当や助成金、減免制度などを徹底解説します。
一人で抱え込まず、利用できる制度はしっかり活用していきましょう。
手当の申請方法や必要書類についても分かりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
母子家庭(シングルマザー)が受け取れる10種類の手当と助成金
シングルマザーとして子育てをしていると、経済面での不安を感じることが多いものです。
母子家庭を支援するための手当や助成金は実はたくさん用意されています。
これらの制度をうまく活用すれば、月々の家計の助けになるだけでなく、子どもの教育費や医療費の負担も軽減できます。
以下では、母子家庭(シングルマザー) が受け取れる主な手当や助成金を10種類紹介します。
1.児童手当
児童手当は中学校卒業までの子どもを育てている全ての家庭を対象とした制度です。
シングルマザーだけでなく、一般家庭でも受け取ることができる基本的な手当になります。
支給額は子どもの年齢や家庭の所得によって変わり、0〜3歳未満は月額15,000円、3歳〜小学校修了前は10,000円 (第3子以降は15,000円)、中学生は10,000円となっています。
ただし、所得制限を超える場合は特例給付として月額5,000円が支給されます。
母子家庭の場合、扶養親族の数が多くなるため所得制限に引っかかりにくいというメリットがあります。
申請は子どもが生まれた日や転入した日から15日以内に、お住まいの市区町村の窓口で行います。
必要書類は、申請書、請求者の健康保険証の写し、振込先の銀行口座情報などですが、自治体によって異なる場合があるので事前に確認しておきましょう。
2.児童扶養手当
児童扶養手当は母子家庭や父子家庭など、ひとり親家庭を対象とした手当です。
この手当は18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童(障害児の場合は20歳未満)を育てている場合に受け取ることができます。
支給額は子どもの数や所得によって変わり、2023年4月の全部支給の場合、子ども1人の場合は月額43,070円、2人目は加算額10,170円、3人目以降は1人につき6,100円が加算されます。
所得制限があり、収入に応じて全部支給、一部支給、または支給なしとなります。
児童扶養手当はシングルマザーにとって最も重要な経済的支援の一つと言えるでしょう。
申請はお住まいの市区町村の窓口で行い、戸籍謄本、住民票の写し、所得証明書などが必要です。
また、毎年8月に現況届の提出が必要で、これを忘れると手当が支給停止になる可能性があるので注意しましょう。
3.母子家庭の住宅手当
住宅手当は自治体によって名称や内容が異なりますが、主に「住宅手当」「住宅扶助」「住宅費補助」などと呼ばれています。
この制度は民間の賃貸住宅に住むひとり親家庭を対象に、家賃の一部を補助するものです。
例えば東京都の場合、「東京都母子及び父子福祉資金貸付金」の中の「住宅資金」として、住宅の建設・購入・改築・補修等に必要な資金を150万円まで貸し付ける制度があります。
また、公営住宅への入居においても母子家庭は優先的に扱われることが多く、一般の申込者より当選確率が高くなります。
家賃は母子家庭の支出の中でも大きな割合を占めるため、この支援制度を活用することで家計の負担を大幅に軽減できます。
申請方法や条件は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の窓口で相談することをおすすめします。
4.ひとり親家庭医療費助成制度
ひとり親家庭医療費助成制度は、母子家庭の親と子どもが医療機関を受診した際の医療費の自己負担分を助成する制度です。
対象となるのは18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童とその親で、所得制限があります。
助成内容は自治体によって異なりますが、多くの場合、保険診療の自己負担額の全部または一部が助成されます。
例えば東京都の場合、「マル親医療証」が発行され、これを医療機関に提示することで窓口での支払いが免除されます。
子どもが病気になりやすい年齢の場合、この制度を利用することで年間数万円の医療費を節約できる可能性があります。
申請はお住まいの市区町村の窓口で行い、戸籍謄本、健康保険証の写し、所得証明書などが必要です。
また、毎年更新手続きが必要な自治体が多いので、更新時期を忘れないようにしましょう。
5.こども医療費助成制度
こども医療費助成制度は子どものみを対象とした医療費の助成制度で、自治体によって名称や内容が異なります。
例えば「子ども医療費助成」「小児医療費助成」などと呼ばれることがあります。
対象年齢は自治体によって異なり、中学校卒業までの場合もあれば、18歳まで対象の自治体もあります。
助成内容も自治体によって異なりますが、多くの場合、保険診療の自己負担額の全部または一部が助成されます。
ひとり親家庭医療費助成制度と併用することで、さらに医療費の負担を軽減できる場合があります。
申請はお住まいの市区町村の窓口で行い、必要書類は子どもの健康保険証の写し、振込先の銀行口座情報などです。
この制度は所得制限がない自治体も多いため、ぜひ活用したい制度の一つです。
6.特別児童扶養手当
特別児童扶養手当は心身に中程度以上の障害がある20歳未満の児童を養育している親または養育者に支給される手当です。
障害の程度によって1級と2級に分かれており、2023年4月現在、1級は月額52,400円、2級は月額34,900円が支給されます。
対象となる障害の例としては、視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、内部障害、精神障害、知的障害などがあります。
所得制限があり、所得に応じて支給の可否が決まります。
障害のある子どもの養育には特別な配慮や費用がかかるため、この手当は大きな支援になります。
申請は居住地の市区町村窓口で行い、診断書や戸籍謄本などが必要です。
児童扶養手当と併せて受給することも可能なので、条件に該当する場合は両方の手当を申請することをおすすめします。
7.障害児福祉手当
障害児福祉手当は日常生活において常時介護を必要とする重度障害のある20歳未満の児童本人に支給される手当です。
2023年4月現在、月額14,850円が支給されます。
対象となるのは、身体障害者手帳1級程度、療育手帳最重度(A1)程度、または同程度の精神障害のある児童です。
所得制限があり、本人および扶養義務者の所得に応じて支給の可否が決まります。
特別児童扶養手当とは違い、この手当は児童本人に支給されるため、子どもの将来のためにも申請を検討する価値があります。
申請は居住地の市区町村窓口で行い、診断書や戸籍謄本などが必要です。
特別児童扶養手当と併せて受給することも可能なので、条件に該当する場合は両方の手当を申請するとよいでしょう。
8.生活保護
生活保護は生活に困窮している全ての世帯を対象とした最後のセーフティネットです。
収入や資産が最低生活費を下回る場合に、その差額が支給されます。
生活保護費は、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類から構成されています。
支給額は世帯人数や居住地域によって異なりますが、例えば東京都区部の母子2人世帯 (母30代、子10歳未満) の場合、生活扶助と住宅扶助を合わせて月額約20万円程度が目安となります。
生活保護は「恥ずかしいもの」ではなく、必要な人が利用するための制度です。
生活に困ったときは、まずはお住まいの自治体の福祉事務所に相談してみましょう。
ただし、利用には親族からの援助が受けられないことや、車の所有制限など様々な条件があるため、詳細は個別に相談する必要があります。
9.母子家庭の遺族年金
遺族年金は配偶者が亡くなった場合に、残された遺族の生活を支えるための年金制度です。
母子家庭の場合、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類が主に関係します。
遺族基礎年金は国民年金の被保険者が死亡した場合に、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子(障害児の場合は20歳未満)のいる配偶者または子に支給されます。
遺族厚生年金は厚生年金の被保険者が死亡した場合に、配偶者や子などに支給されます。
配偶者の死亡により母子家庭になった場合は、まず年金事務所に相談し、受給資格があるか確認することが重要です。
申請は最寄りの年金事務所で行い、戸籍謄本や死亡診断書などが必要です。
支給額は亡くなった配偶者の加入期間や報酬によって異なりますが、遺族基礎年金の場合、子が1人いる場合は月額約10万円程度から支給されます。
10.児童育成手当
児童育成手当は東京都などの一部の自治体で独自に実施している手当です。
東京都の場合、「育成手当」と「障害手当」の2種類があります。
育成手当は18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童を養育しているひとり親家庭等に支給され、月額13,500円(児童1人につき) となっています。
障害手当は心身に障害のある20歳未満の児童を養育している方に支給され、月額15,500円(児童1人につき) となっています。
児童育成手当は児童扶養手当と併給できるため、両方の条件を満たしていれば申請することで経済的支援を最大限に受けられます。
申請はお住まいの区市町村の窓口で行い、戸籍謄本や住民票の写しなどが必要です。
お住まいの自治体によって独自の手当がある場合があるので、一度窓口に相談してみることをおすすめします。
母子家庭(シングルマザー)が利用できる7つの減免・割引制度
手当や助成金の他に、母子家庭(シングルマザー) は様々な減免・割引制度を利用することができます。
これらの制度をうまく活用すれば、月々の固定費を抑えることができ、家計の負担が大きく軽減されます。
ここでは母子家庭が利用できる主な減免・割引制度を7つ紹介します。
1.寡婦控除
寡婦控除は所得税・住民税の計算において適用される税金の控除制度です。
シングルマザーが対象となる寡婦控除は、所得税で27万円、住民税で26万円の控除を受けることができます。
2020年の税制改正により、婚姻歴のないシングルマザーも「特定の寡婦」として寡婦控除の対象となりました。
これにより、離婚だけでなく未婚のシングルマザーも同じ控除を受けることが可能になっています。
寡婦控除を受けることで、実質的な手取り収入が増えるだけでなく、所得に応じた各種制度の適用判定にも有利になります。
申請は確定申告や年末調整の際に行い、必要書類は戸籍謄本や住民票などです。
年末調整で申請する場合は勤務先に相談し、確定申告の場合は税務署に確認するとよいでしょう。
2.国民健康保険の減免制度
国民健康保険料 (税) の減免制度は、母子家庭など経済的に厳しい状況にある世帯を対象とした制度です。
各自治体によって条件や減免率は異なりますが、多くの場合、所得に応じて保険料が軽減されます。
例えば東京都の場合、母子家庭で前年の合計所得金額が一定以下であれば、保険料が半額に減額される自治体があります。
また、災害や失業などで一時的に支払いが困難になった場合も、申請により減免される場合があります。
国民健康保険料は毎月の固定費として大きな負担になるため、この減免制度を活用することで家計の余裕が生まれます。
申請はお住まいの市区町村の国民健康保険窓口で行い、母子家庭であることを証明する書類や所得証明書などが必要です。
自治体によって手続き方法が異なるため、詳細は窓口に直接問い合わせることをおすすめします。
3.国民年金の免除制度
国民年金保険料の免除制度は、経済的な理由で保険料の納付が困難な場合に、申請により保険料の全部または一部が免除される制度です。
免除には「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があり、前年所得に応じて判定されます。
また、失業などの理由がある場合は「特例免除」として審査されることもあります。
さらに、50歳未満の母子家庭の母などを対象とした「納付猶予制度」もあります。
免除を受けた期間も受給資格期間に算入され、将来の年金額にも一定程度反映されるため、未納のままにするよりも免除申請をすることをおすすめします。
申請は居住地の市区町村の国民年金窓口または年金事務所で行い、印鑑や退職証明書 (失業の場合) などが必要です。
免除申請は毎年行う必要があるため、忘れずに手続きしましょう。
4.公共交通機関の割引制度
母子家庭を対象とした公共交通機関の割引制度がある自治体もあります。
例えば東京都では「東京都シルバーパス」の対象に準じて、児童扶養手当を受給している母子家庭の母親が都営交通無料乗車券を申請できる制度があります。
また、JRでは「母子家庭等で児童扶養手当を受けている方」を対象に、「定期券購入時の割引制度」があります。
通勤定期券の場合は3割引、通学定期券の場合は最大で5割引になることがあります。
通勤や通学で公共交通機関を頻繁に利用する場合、この割引制度を活用することで月々の交通費を大幅に削減できます。
申請方法は自治体や交通機関によって異なるため、お住まいの自治体の窓口や利用する交通機関に直接問い合わせるとよいでしょう。
児童扶養手当証書や母子家庭等医療証などの提示が必要な場合が多いです。
5.粗大ごみ手数料の減免
多くの自治体では、母子家庭などの低所得世帯を対象に粗大ごみ処理手数料の減免制度を設けています。
例えば東京23区の多くでは、児童扶養手当受給者や生活保護受給者などが対象となり、年間の粗大ごみ処理手数料が一定量まで無料になります。
制度の内容は自治体によって異なり、全額免除の場合もあれば、一定数量までの免除や割引率が決まっている場合もあります。
引っ越しや大掃除などで粗大ごみが多く出る際には特に役立つ制度です。
粗大ごみの処理費用は意外と高額になるため、この制度を知っておくと家計の助けになります。
申請はお住まいの自治体の清掃事務所や粗大ごみ受付センターで行うことが多く、児童扶養手当証書や母子家庭等医療証などの提示が必要です。
事前に申請が必要な自治体が多いので、粗大ごみを出す前に確認しておくとよいでしょう。
6.上下水道料金の減額制度
自治体によっては、母子家庭などの低所得世帯を対象に上下水道料金の減額制度を設けているところがあります。
例えば東京都では「水道・下水道料金の減免制度」があり、児童扶養手当受給者や生活保護受給者などが対象となります。
減免の内容は自治体によって異なりますが、基本料金の免除や一定使用量までの減額などがあります。
例えば、基本料金が免除されると月々1,000円程度の節約になる場合があります。
水道料金は毎月の固定費として発生するため、この減額制度を利用することで年間で1万円以上の節約になることもあります。
申請はお住まいの自治体の水道局や担当窓口で行い、児童扶養手当証書や母子家庭等医療証などの提示が必要です。
減免期間が定められていることが多いため、更新時期を忘れないようにしましょう。
7.保育料の減免制度
保育所や認定こども園などの保育料は、世帯の所得や子どもの年齢によって決まりますが、母子家庭は一般的に保育料が減免される場合が多いです。
特に児童扶養手当を受給している世帯は、保育料の算定において有利になることがあります。
また、2019年10月からは3〜5歳児の保育料が無償化され、0〜2歳児についても住民税非課税世帯は無償となっています。
さらに、自治体独自の上乗せ支援として、母子家庭に対する保育料の軽減制度を設けているところもあります。
保育料は月々の負担が大きいため、この減免制度を活用することで家計の負担が大きく軽減されます。
申請は保育所の入所申請時や市区町村の保育課などで行います。
母子家庭であることを証明する書類 (児童扶養手当証書や戸籍謄本など) と、所得証明書などが必要です。
母子家庭(シングルマザー)向け自立支援訓練給付金制度について
手当や助成金、減免制度に加えて、シングルマザーの経済的自立を支援するための給付金制度もあります。
特に就業による自立を目指すシングルマザーにとって、これらの制度は新たなスキルを身につけるための大きな助けとなるでしょう。
ここでは母子家庭向けの自立支援訓練給付金制度について詳しく解説します。
- 自立支援給付金の概要
- 自立支援訓練給付金の対象者
自立支援給付金の概要
自立支援給付金制度は、母子家庭の母または父子家庭の父が就職に有利な資格を取得するために支給される給付金です。
この制度には「自立支援教育訓練給付金」と「高等職業訓練促進給付金」の2種類があります。
自立支援教育訓練給付金は、指定された教育訓練講座を受講した場合に、その受講料の一部(最大60%、上限20万円) が支給されます。
たとえば、医療事務やパソコン関連の資格、介護職員初任者研修などの講座が対象となります。
高等職業訓練促進給付金は、看護師や介護福祉士、保育士など就職に有利な資格を取得するために1年以上養成機関で修業する場合に支給される給付金です。
支給額は市町村民税非課税世帯で月額10万円、課税世帯で月額7万500円(2023年4月現在) となっています。
また、修業期間の最後の12か月については月額4万円が加算されます。
さらに、修了後に一時金も支給されるため、長期間の訓練が必要な資格取得にも挑戦しやすくなっています。
自立支援訓練給付金の対象者
自立支援訓練給付金の対象となるのは、以下の条件を満たす方です。
まず、20歳未満の子どもを扶養している母子家庭の母または父子家庭の父であることが基本条件となります。
児童扶養手当を受給しているか、または同等の所得水準にあることも条件の一つです。
さらに、「就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場などから判断して、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められる方」という条件があります。
資格取得によって収入増加や雇用の安定が見込める場合に支給されるため、事前に自治体のひとり親支援窓口で相談することが重要です。
申請前に受講が修了していると対象外となる場合があるので、講座を受講する前に必ず相談しましょう。
申請はお住まいの自治体の母子・父子自立支援窓口で行い、児童扶養手当証書や申請理由書、講座の案内等が必要です。
この制度をうまく活用して、より安定した収入を得られる職業に就くための資格取得を目指しましょう。
日本の母子家庭の現状
シングルマザーに対する支援制度について理解を深めるためには、まず日本の母子家庭の現状を知ることが大切です。
統計データから見える実態を踏まえることで、どのような支援が必要なのかが見えてきます。
ここでは厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」などのデータをもとに、母子家庭の現状について解説します。
母子家庭数の推移
日本の母子家庭の数は近年増加傾向にあります。
厚生労働省の「全国ひとり親世帯等調査」によると、2016年時点での母子世帯数は約123万世帯と推計されています。
これは1998年の約95万世帯から約30%も増加した数字です。
さらに、18歳未満の子どもがいる世帯のうち、母子世帯の割合は約7.5%となっており、およそ13世帯に1世帯が母子家庭という計算になります。
離婚件数の増加や晩婚化による高齢出産の増加など、社会構造の変化に伴い母子家庭の数は今後も増える可能性があります。
このような統計からも、シングルマザーに対する社会的な支援の重要性が高まっているといえるでしょう。
母子家庭となる主な理由
母子家庭となる理由には様々なものがありますが、最も多いのは離婚です。
厚生労働省の調査によると、母子家庭となった理由として約80%が離婚を挙げています。
次いで多いのが未婚の母(約8%)、死別(約8%) となっており、離婚による母子家庭が圧倒的多数を占めています。
離婚率は1990年代から2000年代にかけて上昇傾向にあり、2002年をピークに若干減少したものの、依然として高い水準を維持しています。
離婚の増加背景には、女性の社会進出や経済的自立の可能性の高まり、家族観の変化などの社会的要因があります。
離婚後の生活設計を考える際には、養育費や各種支援制度についての知識を事前に得ておくことが重要です。
母子家庭の年齢層
母子家庭の母親の年齢層は、30代から40代が中心となっています。
厚生労働省の調査によると、母子家庭の母の平均年齢は約42歳で、30代後半から40代前半が最も多いとされています。
子どもの年齢は、小学生(6〜11歳) が最も多く、次いで中学生(12〜14歳)、高校生(15〜17歳) の順となっています。
年齢層によって直面する課題は異なり、若年層では就労経験の少なさや学歴による就職の壁、中年層では子育てと仕事の両立や再就職の難しさなどがあります。
特に40代以降のシングルマザーは就職や転職が難しくなる傾向があり、安定した雇用と収入の確保が大きな課題となっています。
年齢に応じた支援策や再就職のためのスキルアップ支援が重要と言えるでしょう。
母子家庭の平均収入
母子家庭の経済状況は一般世帯と比較して厳しい状況にあります。
厚生労働省の調査によると、母子世帯の平均年間収入は約243万円で、これは一般世帯の平均年収 (約545万円) の約45%に過ぎません。
収入の内訳は、就労収入が約181万円、養育費が約9万円、児童扶養手当等の社会保障給付が約43万円となっています。
就労状況を見ると、母子家庭の母の就業率は約81%と高いものの、非正規雇用の割合が約52%を占めており、安定した収入を得ることが困難な状況にあります。
収入が少ないにもかかわらず、子育てにかかる費用は変わらないため、多くの母子家庭が経済的な困難を抱えています。
そのため、各種手当や助成金、減免制度などを最大限に活用することが重要です。
児童扶養手当の受給者数
児童扶養手当は母子家庭の重要な経済的支援となっています。
厚生労働省の統計によると、2022年の児童扶養手当の受給者数は約97万人で、そのうち約9割が母子家庭の母となっています。
受給者数は2000年代初頭から増加傾向にありましたが、近年は微減傾向にあります。
ただし、所得制限の影響で受給できない母子家庭も一定数存在しており、実際の母子家庭の数に比べると受給者数は少なくなっています。
児童扶養手当の全部支給と一部支給の割合は約1:2となっており、多くの受給者が所得制限によって一部支給となっています。
所得の増加によって手当が減額されるという制度の仕組みが、就労意欲に影響するという指摘もあります。
養育費の支払い状況
離婚後の養育費の取り決めと支払い状況は、母子家庭の経済状況に大きく影響します。
厚生労働省の調査によると、離婚時に養育費の取り決めをしている割合は約43%にとどまっています。
さらに、養育費を現在も受け取っている母子家庭は約24%と、4世帯に1世帯程度という低い水準です。
取り決めをしているにもかかわらず養育費を受け取れていない世帯が約18%あり、養育費の支払いが途中で止まるケースも少なくありません。
養育費を受け取っている世帯の平均月額は約44,000円で、子どもの教育費や生活費の大きな助けとなっています。
養育費の確保は母子家庭の経済的自立のためにも重要であり、離婚時の公正証書による取り決めや強制執行の手続きなど、制度の利用促進が課題となっています。
離婚後に必ず確保すべき養育費について
母子家庭の経済的な安定を図る上で、養育費の確保は非常に重要です。
しかし、前述のように養育費を受け取っているシングルマザーは約24%にとどまっており、多くの母子家庭が十分な養育費を受け取れていない状況にあります。
ここでは離婚後に必ず確保すべき養育費について詳しく解説します。
養育費に含まれる費用
養育費は子どもの生活全般にかかる費用を指します。
具体的には、衣食住にかかる基本的な生活費、医療費、教育費などが含まれます。
一般的に養育費に含まれる主な費目は以下の通りです。
- 食費(給食費を含む)
- 衣類・靴などの被服費
- 医療費(保険適用外の治療費や薬代も含む)
- 学校教育費(授業料、教材費、制服代など)
- 習い事や塾などの学校外教育費
- 通学・通塾にかかる交通費
- 学校行事や修学旅行の費用
- 携帯電話代などの通信費
- 住居費の一部(子どもの居住スペースに相当する分)
養育費は子どもの年齢が上がるにつれて必要な金額も増えていくため、将来的な教育費なども考慮して取り決めることが重要です。
特に大学進学や専門学校への入学など、高等教育にかかる費用についても明確に取り決めておくとよいでしょう。
養育費とは別に、子どもが進学する際の一時金(入学金や入学準備金など) を「教育費」として別途請求できる場合もあります。
養育費の支払期間とその終了時期
養育費の支払期間は、一般的には子どもが経済的に自立するまでとされています。
具体的な終了時期については当事者間の取り決めによりますが、一般的には以下のようなケースが多いです。
- 子どもが高校を卒業するまで
- 子どもが大学を卒業するまで
- 子どもが20歳になるまで
- 子どもが就職して経済的に自立するまで
最近では大学進学率の上昇を背景に、大学卒業までを養育費の支払期間とする取り決めが増えています。
離婚時の取り決めでは、子どもの成長に伴う養育費の増額や、特定のタイミング (中学進学時や高校進学時など) での見直しについても明記しておくとよいでしょう。
養育費の支払期間や金額について明確な取り決めをしておかないと、後々トラブルの原因になりかねません。
離婚協議書や公正証書などの書面で詳細に取り決めておくことが重要です。
また、養育費の支払いを確実にするために、給与差押え等の強制執行認諾文言を入れた公正証書を作成しておくことも効果的です。

養育費の平均額
養育費の金額は、支払う側の収入や子どもの年齢、人数などによって大きく異なります。
裁判所が公表している「養育費算定表」によると、収入や子どもの年齢に応じた標準的な養育費の目安が示されています。
例えば、子ども1人(0〜14歳)、父親の年収400万円、母親の年収200万円の場合、月額約4〜5万円が養育費の目安となります。
実際に養育費を受け取っている母子家庭の平均月額は約44,000円ですが、取り決め金額には大きな幅があり、月額1万円程度から10万円以上まで様々なケースがあります。
養育費の金額を決める際は、子どもの年齢や教育環境、特別な事情(障害や持病など)も考慮し、子どもの成長に応じた適切な金額を設定することが大切です。
養育費の取り決めや増額請求については、弁護士や法テラス、各自治体の母子家庭支援窓口などに相談するとよいでしょう。
2021年度からは養育費の不払いに対する「養育費立替払い制度」を導入する自治体も増えており、公的支援の利用も検討する価値があります。

よくある質問
シングルマザーの手当についてよくある質問をまとめました。
気になる疑問がある方はぜひ参考にしてください。
- シングルマザーが受け取れる手当の総額はいくらですか?
- 子供2人のシングルマザーが受け取れる手当の金額を教えてください。
- シングルマザーの手当には所得制限がありますか?
- 母子家庭の手当一覧を教えてください。
- シングルマザーが手当をもらいすぎると減額されますか?
- 母子家庭に30万円の給付金はありますか?
- シングルマザーに彼氏ができたら手当はどうなりますか?
- シングルマザーが親と同居している場合の手当について教えてください。
- シングルマザーの手当を受け取るための条件は何ですか?
- 会社に勤めながらもらえる母子家庭の支援はありますか?
まとめ
この記事では母子家庭 (シングルマザー) が受け取れる手当や助成金、減免制度について詳しく解説しました。
シングルマザーになると経済的な不安を抱えがちですが、様々な支援制度が用意されているので、積極的に活用することが大切です。
児童手当や児童扶養手当といった基本的な手当に加え、住宅手当や医療費助成、各種減免制度など、複数の支援を組み合わせることで家計の負担を軽減できます。
また、将来的な経済的自立のためには、養育費の確保や自立支援訓練給付金などを利用したスキルアップも重要なポイントです。
各制度には所得制限や申請期限があるため、お住まいの自治体の窓口で自分のケースに合った支援について相談することをおすすめします。
一人で子育てと仕事を両立することは決して簡単ではありませんが、利用できる制度をしっかり活用して、少しでも余裕のある生活を目指しましょう。