養育費の相場はいくら?子供の人数、年齢、年収に応じた目安を公開

養育費の相場

離婚時の養育費について、「いくらぐらいが相場なのか」「どうやって金額を決めればいいのか」と悩んでいませんか?

養育費は子どもの将来に直結する大切なお金です。

しかし、離婚時に適切な養育費を決めるのは簡単ではありません。

相手の収入や子どもの年齢によって養育費の相場は変わりますし、支払期間や増額・減額の条件など知っておくべきことがたくさんあります。

この記事では離婚時の養育費相場について、子どもの人数別・年齢別・収入別に詳しく解説していきます。

法律の専門家ではない方にも分かりやすいよう、具体的な金額例を交えながら丁寧に説明します。

目次

養育費の基本的な知識と内容

離婚するときに最も大切にすべきなのは、子どもの将来です。

そのため法律では、親権者でない親に対して「養育費」を支払う義務を定めています。

養育費とは、親が子どもを育てるために必要なお金のことで、食費や教育費など子どもの生活全般を支えるものです。

養育費の支払いは親としての当然の義務であり、支払わなければ法的な強制力も行使できます。

ただ、いざ離婚となると「いくら払えばいいの?」「相場はどれくらい?」と迷うことも多いでしょう。

ここからは養育費の基本から相場、決め方のポイントまで具体的に解説していきます。

養育費に含まれる費用と内訳

養育費にはどのような費用が含まれるのか、具体的に見ていきましょう。

子どもを育てるためには、様々な費用が必要になります。

養育費には主に以下のような費用が含まれています。

食費毎日の食事、おやつ、学校の給食費など
衣服費普段着、制服、靴、季節の衣類など
住居費家賃の一部、光熱費、水道代など
教育費学費、教材費、習い事、塾、通学費用など
医療費通院費、薬代、健康保険料など
娯楽費おもちゃ、本、ゲーム、旅行費用など
雑費通信費、交際費、誕生日などのイベント費用など

これらの費用はすべて、子どもが健やかに成長するために必要なものです。

養育費は単なる「生活費」ではなく、子どもの人生を支える大切なお金だと考えましょう。

特に教育費は子どもの将来に直結するため、しっかり話し合っておくことが大切です。

また、子どもの年齢が上がるにつれて必要な費用も変化していくため、長期的な視点も必要になります。

例えば、小学生のうちは習い事程度でも、中学・高校と進むにつれて塾や受験費用など教育にかかる費用は増えていく傾向にあります。

こうした事情も踏まえて、養育費の金額を考えていくことをおすすめします。

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離婚時の養育費相場はどれくらい?

離婚時に養育費をいくら請求すればいいのか、多くの方が悩むポイントです。

養育費の相場は、子どもの人数や年齢、両親の収入によって大きく変わります。

一般的な目安を知っておくことで、話し合いの参考にしたり、不当に低い金額で合意してしまう失敗を防げます。

それでは、具体的な養育費の相場について見ていきましょう。

ひとり親家庭における養育費の平均月額

厚生労働省の調査によると、養育費を受け取っているひとり親家庭の平均月額は以下のようになっています。

調査年ひとり親家庭の養育費平均月額
2021年約43,000円
2016年約39,000円
2011年約37,000円

この金額だけを見ると「思ったより少ない」と感じるかもしれませんが、実際には様々な事情によって左右されます。

養育費は平均額だけでなく個々の状況に応じて決めるものなので、あくまで参考程度に考えましょう。

また、この調査は実際に養育費を受け取っている家庭のみが対象です。

残念ながら、養育費の取り決めをしていない、または取り決めはしても実際には支払われていないケースも少なくありません。

子どもの人数別でみる養育費の相場

子どもの人数によって養育費の相場は大きく変わります。

一般的に、子どもが増えるごとに養育費も増額されるのが普通です。

子どもの人数養育費相場(月額)
1人3万円~5万円
2人5万円~8万円
3人8万円~12万円

この相場はあくまで平均的な収入の場合の目安です。

実際には、支払う側の年収が高ければ、養育費の金額も高くなります。

また、子どもの年齢も考慮すべき重要な要素です。

15歳以上になると高校の授業料や受験費用などもかかるため、養育費は増額されるケースが多いでしょう。

最高裁判所事務総局の統計による養育費取り決め件数

最高裁判所の調査によると、離婚時に養育費の取り決めをしている割合は年々増加傾向にあります。

区分養育費の取り決めあり取り決めなし
協議離婚約40%約60%
調停離婚約85%約15%
裁判離婚約90%約10%

特に注目すべきなのは、協議離婚での取り決め率の低さです。

夫婦間の話し合いだけで離婚する協議離婚では、養育費についてきちんと決めないまま離婚してしまうケースが多いのが現状です。

養育費は子どもの権利なので、必ず書面で取り決めておくことをお勧めします。

口約束だけだと、後々トラブルになりやすいです。

養育費の相場計算に用いられる養育費算定表

養育費の金額を決める際に最も参考にされるのが「養育費算定表」です。

これは裁判所が実際の裁判例を基に作成した表で、多くの弁護士や調停委員もこの表を参考にしています。

養育費算定表では、以下の要素を考慮して金額を導き出します。

  • 養育費を支払う側の年収
  • 養育費を受け取る側の年収
  • 子どもの人数
  • 子どもの年齢(0〜14歳と15〜19歳で区分)

養育費算定表では、子どもの年齢を「0〜14歳」と「15〜19歳」の二つに分けています。

これは高校生以上になると教育費などが増えるためで、15歳以上の子どもがいる場合は養育費が高くなる傾向にあります。

算定表は裁判所のホームページで誰でも見ることができ、養育費の目安を知るのに非常に役立ちます。

ただし、あくまでも目安であり、個別の事情によって金額は変わってくることを覚えておきましょう。

子供の人数や年齢に応じた養育費相場の詳細

離婚時の養育費をより具体的に知るには、子どもの人数や年齢、そして支払う側の収入を考慮する必要があります。

ここからは、それぞれのケース別に養育費の相場を詳しく見ていきましょう。

実際の金額を知ることで、適切な養育費を決めるための参考になるはずです。

子ども1人の場合の養育費相場

子どもが1人の場合の養育費相場は、支払う側の年収によって大きく変わります。

年収別に具体的な金額を見ていきましょう。

子ども1人・年収300万円の養育費相場

支払う側の年収が300万円の場合、子ども1人の養育費相場は以下のようになります。

子どもの年齢月額相場年間合計
0〜14歳2万円〜3万円24万円〜36万円
15〜19歳3万円〜4万円36万円〜48万円

年収300万円という収入レベルでは、養育費の負担は決して軽くありません。

ただ、たとえ収入が少なくても、子どもの成長に必要なお金という観点から養育費の支払いは必須です。

高校生以上になると、教育費などの負担が増えるため、養育費も増額される傾向にあります。

子ども1人・年収400万円の養育費相場

年収400万円の場合、子ども1人の養育費相場は次のようになります。

子どもの年齢月額相場年間合計
0〜14歳3万円〜4万円36万円〜48万円
15〜19歳4万円〜5万円48万円〜60万円

年収400万円になると、より余裕のある養育費の負担が可能になります。

子どもの年齢が上がるにつれて必要な費用も増えていくため、年齢に応じた金額設定が大切です。

特に高校受験や大学受験などの教育費は大きな負担となるため、考慮しておきましょう。

子ども1人・年収500万円の養育費相場

年収500万円の場合の養育費相場は以下の通りです。

子どもの年齢月額相場年間合計
0〜14歳4万円〜5万円48万円〜60万円
15〜19歳5万円〜6万円60万円〜72万円

年収500万円というのは全国平均に近い収入です。

このレベルの収入であれば、子どもの基本的な生活費だけでなく、習い事や塾などの教育関連費用もある程度カバーできる養育費を設定できるでしょう。

子どもの将来のためにも、可能な範囲で十分な養育費を確保することをおすすめします。

子ども1人・年収600万円の養育費相場

年収600万円の場合、子ども1人の養育費相場は次のようになります。

子どもの年齢月額相場年間合計
0〜14歳5万円〜6万円60万円〜72万円
15〜19歳6万円〜7万円72万円〜84万円

年収600万円以上になると、より充実した養育費を提供することが可能です。

子どもの教育環境や生活の質を考えると、収入に応じた適切な養育費を設定することが重要です。

特に子どもの将来のための教育投資という視点を持つことで、養育費の意義がより明確になるでしょう。

養育費の目安に児童扶養手当は含まれない

注意したいのは、養育費の算定に児童扶養手当などの公的支援は含まれないという点です。

養育費と児童扶養手当は別物と考えましょう。

児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活を支援するために国や自治体が支給するもので、養育費の有無に関わらず受け取れることがあります。

ただし、養育費の額によっては児童扶養手当が減額されたり受給できなくなったりする場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

養育費の取り決めをする際には、公的支援の受給条件も踏まえた上で検討するとよいでしょう。

子ども2人の場合の養育費相場

子どもが2人いる場合、養育費はさらに増額されます。

また、子どもの年齢の組み合わせによっても金額が変わってきます。

子ども2人(0歳~14歳)の年収別養育費相場

まずは子ども2人が共に14歳以下の場合の養育費相場を見ていきましょう。

子ども2人(0歳~14歳)・年収300万円の養育費相場

支払う側の年収が300万円で、子ども2人が共に14歳以下の場合、養育費相場は月額3万円~4万円程度です。

年間では36万円~48万円となります。

年収300万円という状況では負担が大きいですが、子ども2人の基本的な生活費を考えると必要な金額と言えるでしょう。

子ども2人(0歳~14歳)・年収400万円の養育費相場

年収400万円の場合、子ども2人(共に14歳以下)の養育費相場は月額4万円~5万円程度です。

年間では48万円~60万円になります。

この収入レベルであれば、子ども2人の基本的な生活費と教育費の一部をカバーできる養育費の支払いが可能です。

子ども2人(0歳~14歳)・年収500万円の養育費相場

年収500万円の場合、子ども2人(共に14歳以下)の養育費相場は月額5万円~7万円程度です。

年間では60万円~84万円となります。

この収入レベルなら、子どもたちの基本的な生活費に加え、習い事や教育費などにも対応できる養育費が設定できるでしょう。

子ども2人(0歳~14歳)・年収600万円の養育費相場

年収600万円の場合、子ども2人(共に14歳以下)の養育費相場は月額7万円~8万円程度です。

年間では84万円~96万円になります。

この収入レベルであれば、子どもたちの生活の質を下げることなく十分な養育費を提供できるでしょう。

子どもの教育や将来を考えると、可能な範囲で充実した養育費を設定することが理想的です。

子ども2人(1人は0歳~14歳、1人は15歳~19歳)の年収別養育費相場

次に、子ども2人のうち1人が14歳以下、もう1人が15歳以上の場合を見ていきましょう。

子ども2人(年齢差あり)・年収300万円の養育費相場

支払う側の年収が300万円で、子どもが年齢差のある2人の場合、養育費相場は月額4万円~5万円程度です。

年間では48万円~60万円となります。

高校生になると教育費の負担が増えるため、子どもが全員小中学生の場合よりも養育費は高くなる傾向にあります。

子ども2人(年齢差あり)・年収400万円の養育費相場

年収400万円の場合、年齢差のある子ども2人の養育費相場は月額5万円~6万円程度です。

年間では60万円~72万円になります。

10代後半の子どもには、受験費用や部活動費など様々な出費がかかるため、それを考慮した金額設定が必要です。

子ども2人(年齢差あり)・年収500万円の養育費相場

年収500万円の場合、年齢差のある子ども2人の養育費相場は月額6万円~8万円程度です。

年間では72万円~96万円となります。

この収入レベルなら、高校生の教育費も含めた十分な養育費を提供することが可能でしょう。

子ども2人(年齢差あり)・年収600万円の養育費相場

年収600万円の場合、年齢差のある子ども2人の養育費相場は月額8万円~10万円程度です。

年間では96万円~120万円になります。

高校生の学費や塾代、小中学生の習い事など、子どもたちの成長に必要な費用をしっかりカバーできる金額設定が理想的です。

子ども2人(15歳~19歳)の年収別養育費相場

最後に、子ども2人が共に15歳以上の場合の養育費相場を見ていきましょう。

子ども2人(15歳~19歳)・年収300万円の養育費相場

支払う側の年収が300万円で、子ども2人が共に15歳以上の場合、養育費相場は月額5万円~6万円程度です。

年間では60万円~72万円となります。

高校生2人分の教育費を考えると決して余裕のある金額ではありませんが、基本的な教育費はカバーできるでしょう。

子ども2人(15歳~19歳)・年収400万円の養育費相場

年収400万円の場合、子ども2人(共に15歳以上)の養育費相場は月額6万円~7万円程度です。

年間では72万円~84万円になります。

高校生の教育費や生活費を考えると、この程度の養育費は必要と言えるでしょう。

子ども2人(15歳~19歳)・年収500万円の養育費相場

年収500万円の場合、子ども2人(共に15歳以上)の養育費相場は月額7万円~9万円程度です。

年間では84万円~108万円となります。

この収入レベルであれば、高校の授業料や塾代、大学受験の費用など、重要な教育費をカバーできる養育費が設定できます。

子ども2人(15歳~19歳)・年収600万円の養育費相場

年収600万円の場合、子ども2人(共に15歳以上)の養育費相場は月額9万円~11万円程度です。

年間では108万円~132万円になります。

この金額なら、高校生活や大学受験、さらには進学後の支援まで視野に入れた養育費が設定できるでしょう。

特に大学進学を考えている場合は、教育費の負担が大きくなるため、可能な範囲で余裕のある養育費を設定することをおすすめします。

子ども3人の場合の養育費相場

子どもが3人いる場合、養育費はさらに増額されます。

子ども3人の養育費相場は、支払う側の年収によって大きく異なりますが、一般的な目安としては以下のような金額になります。

年収月額相場年間合計
300万円5万円~7万円60万円~84万円
400万円7万円~9万円84万円~108万円
500万円9万円~11万円108万円~132万円
600万円11万円~13万円132万円~156万円

子どもが3人になると、生活費や教育費の負担は大きくなります。

特に子どもたちの年齢が上がるにつれて必要な費用は増加していくため、将来を見据えた養育費の設定が重要です。

養育費は子どもの将来を支える大切なお金であり、支払う側の負担能力と子どもの必要性のバランスを考慮して決めるべきです。

経済状況の変化による養育費の増額・減額対応

養育費を決めた後でも、収入の増減や子どもの進学など状況が変われば、養育費の金額を見直すことができます。

支払う側の収入が大幅に減った場合や、逆に増えた場合、また子どもの教育環境が変わった場合などには、養育費の増額や減額を請求できる場合があります。

特に子どもの高校・大学進学などの際には、養育費の増額を検討する良いタイミングと言えるでしょう。

養育費の変更を希望する場合は、まずは話し合いで解決することを試み、合意できない場合は家庭裁判所に養育費の増減額調停を申し立てることもできます。

養育費は一度決めたら変更できないものではないので、状況の変化に応じて柔軟に対応することが大切です。

養育費の金額を決定する重要な要素

養育費の金額を決める際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。

適切な金額を設定するためにも、これらの要素をきちんと理解しておきましょう。

しっかりとした根拠に基づいて養育費を決めることで、後々のトラブルも防げます。

子どもの年齢と人数による影響

養育費の金額に大きく影響するのが、子どもの年齢と人数です。

基本的に子どもの人数が多いほど、また年齢が上がるほど養育費は増加します。

子どもの年齢による養育費への影響は、主に以下のような点が挙げられます。

年齢区分主な費用の特徴
0〜6歳(未就学児)保育園費用、おむつ代、予防接種、離乳食・食費など
7〜14歳(小中学生)学用品費、給食費、習い事、塾代、修学旅行費など
15〜19歳(高校生)学費、教科書代、制服代、通学費、塾代・受験費用など

特に高校生になると教育費の負担が大きくなるため、養育費算定表でも15歳以上と14歳以下で区分されています。

子どもの成長に合わせて必要な費用は変化するため、長期的な視点で養育費を考えることが大切です。

また、子どもの人数が増えれば当然必要な費用も増加しますが、単純に人数分を掛け算するわけではありません。

例えば、2人目以降は服の共用やまとめ買いなどでやや効率化できる部分もあるため、1人あたりの金額はやや減少する傾向にあります。

両親の収入状況

養育費の金額を決める上で最も重要なのが、両親の収入状況です。

一般的に養育費を支払う側の収入が高いほど、養育費の金額も高くなります。

ただし、養育費を受け取る側の収入も考慮されます。

例えば、受け取る側の収入が高ければ、支払う側の負担はやや軽減されることもあります。

養育費算定表では、両親それぞれの収入から生活費などを差し引いた「基礎収入」を元に養育費を計算します。

養育費は親の収入に応じて子どもが受けられる生活水準を維持するためのものなので、収入は最も重要な要素です。

収入を証明するためには、以下のような書類が必要になります。

  • 源泉徴収票
  • 給与明細(直近3〜6ヶ月分)
  • 確定申告書(自営業の場合)
  • 課税証明書・納税証明書

これらの書類をもとに正確な収入を把握し、適切な養育費を決めることが重要です。

元配偶者の学歴が養育費に与える影響

実は、養育費を決める際に考慮される場合があるのが、支払う側の学歴です。

これは、現在の収入が低くても学歴によっては将来的に収入が増える可能性を考慮するためです。

例えば、養育費を支払う側が医師や弁護士などの専門職で、現在は研修医や新人弁護士として収入が低くても、数年後には収入が大幅に増える可能性が高い場合には、将来の収入増加を見越した養育費の設定が検討されることがあります。

ただし、これはあくまで考慮要素の一つであり、必ずしも学歴だけで養育費が決まるわけではありません。

現在の収入と将来の収入見込みをバランスよく考慮して、適切な養育費を決めることが大切です。

養育費の支払期間について

養育費はいつまで支払う必要があるのか、多くの方が疑問に思う点です。

法律上、養育費の支払い義務は子どもが「経済的に自立するまで」続くとされています。

具体的には、一般的に以下のような期間が目安となります。

区分支払期間の目安
最低限の期間子どもが成人するまで(18歳に達した日以後の最初の3月31日まで)
一般的な期間高校卒業後に就職するまで、または大学卒業まで
延長されるケース子どもに障害がある場合や、特別な事情がある場合

養育費の支払期間については、当事者間の取り決めで自由に決めることができます。

多くの場合、高校卒業までとするか、大学卒業までとするかが議論になります。

子どもの将来のことを考えると、大学進学の可能性も含めて支払期間を22歳までとするケースも増えています。

18歳成人(成年年齢引き下げ)と養育費支払期間への影響

2022年4月から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。

この変更により「養育費の支払い期間も短くなるのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、養育費の支払い義務は単に「成人するまで」ではなく「経済的に自立するまで」という考え方に基づいています。

つまり、18歳で成人しても、まだ高校生であったり、進学や就職の準備をしている場合には、引き続き養育費の支払いが必要とされるのが一般的です。

特に以下のような場合は、成年年齢に達した後も養育費の支払いが続くと考えられます。

  • 大学や専門学校に通っている場合
  • 就職活動中で収入がない場合
  • 病気や障害により自立が困難な場合

判例でも、子どもが大学に進学した場合は養育費の支払いが大学卒業まで継続する傾向にあります。

養育費の支払期間については、必ず離婚協議の段階でしっかり話し合い、書面に明記しておくことが大切です。

明確な終了時期を決めておかないと、後々トラブルの原因になる可能性があります。

例えば「子どもが大学を卒業する年の3月末日まで」など、具体的な期限を設定しておくとよいでしょう。

養育費の支払期間は子どもの教育環境や将来設計に大きく影響するため、子どもの利益を第一に考えた決定が望ましいです。

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よくある質問

養育費に関して多くの方が疑問に思うことをQ&A形式でまとめました。

離婚後の生活設計や子どもの将来を考える上で、参考にしてください。

離婚後に元配偶者の年収が変わった場合、養育費はどうなりますか?

元配偶者の年収が大きく変化した場合、養育費の増額・減額請求が可能です。収入が20%以上変動した場合は、養育費の見直しを検討する目安となります。

養育費減額の場合の対応

支払う側の収入が大幅に減少した場合、減額請求ができます。

ただし、自己都合退職など故意に収入を減らした場合は認められにくいでしょう。

減額を希望する場合は、まず相手との話し合いを試み、合意できなければ家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

収入減少を証明できる資料(給与明細や退職証明書など)を準備しておくことが大切です。

養育費増額の場合の請求方法

支払う側の収入が増えた場合や、子どもの進学などで教育費が増えた場合は、養育費の増額請求ができます。

増額請求の手順は以下の通りです。

  1. 相手に増額の理由と希望金額を伝える
  2. 話し合いで合意できれば、書面で新しい養育費を取り決める
  3. 合意できなければ、家庭裁判所に調停を申し立てる
  4. 調停でも合意できなければ、審判に移行する

増額請求の際は、相手の収入が増えたことを証明する資料や子どもの教育費が増えたことを示す資料を用意しましょう。

離婚後に養育費が未払いになった時はどのように対処すればいいですか?

養育費未払いの場合、まずは直接請求し、それでも支払われなければ法的手続きを取ります。公正証書があれば強制執行も可能です。

個人で相手に支払いを催促する方法

まずは、穏やかに支払いを催促することから始めましょう。

電話やメール、手紙などで支払いの遅れを指摘し、いつまでに支払ってほしいかを伝えます。

この際、感情的にならず事実だけを伝えることが重要です。

催促しても支払いがない場合は、内容証明郵便で正式に支払いを求めることも効果的です。

連絡の記録を残しておくことで、後の法的手続きの際の証拠になります。

養育費の公正証書作成で強制執行が可能になる

養育費の取り決めを公正証書で作成しておくと、未払いの際に強制執行が可能になります。

公正証書とは、公証役場で作成する公的な文書で「強制執行認諾文言」を入れることで、裁判なしで財産差し押さえなどの強制執行ができるようになります。

離婚時に養育費の取り決めをする際は、ぜひ公正証書を作成することをおすすめします。

公正証書がない場合でも、裁判所に申し立てることで強制執行は可能ですが、手続きに時間がかかります。

2020年改正民事執行法で養育費回収がしやすくなった

2020年に民事執行法が改正され、養育費の回収がしやすくなりました。

主な改正点は以下の通りです。

  • 相手の財産情報を第三者から取得できるようになった
  • 将来発生する養育費についても一括して強制執行が可能になった
  • 給与債権の差し押さえ可能な範囲が拡大された

これにより、養育費の未払いに対してより効果的な対応が可能になりました。

専門家のサポートを受けながら、法的手続きを進めるとよいでしょう。

離婚した夫婦のどちらかが再婚したら養育費はどうなりますか?

養育費は親の義務なので、どちらかが再婚しても原則として支払い義務は継続します。ただし、状況によっては金額変更の協議が必要な場合もあります。

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元配偶者が再婚した場合の養育費

養育費を支払う側(非監護親)が再婚しても、子どもに対する養育費の支払い義務は変わりません。

再婚して新しい家族ができたとしても、実子に対する養育責任は継続します。

ただし、再婚により経済状況が大きく変わる場合は、養育費の増減額について協議することはあり得ます。

養育費は子どもの権利であり、親の再婚という事情だけで減額や免除されるものではありません。

自分が再婚した場合の養育費

養育費を受け取る側(監護親)が再婚しても、元配偶者の養育費支払い義務は原則として継続します。

再婚相手が子どもを養子縁組した場合でも、法的には実親の養育義務は継続するのが原則です。

ただし、特別養子縁組をした場合は、実親との法的な親子関係が終了するため、養育費の支払い義務もなくなります。

再婚により経済状況が大幅に改善した場合など、状況によっては養育費について話し合うこともあるでしょう。

子ども1人・2人・3人の場合の養育費相場の違いを教えてください。

子どもの人数が増えるほど養育費も増加します。例えば年収500万円の場合、子ども1人で月4~5万円、2人で6~8万円、3人で9~11万円が相場です。

養育費算定表を使った計算方法について教えてください。

養育費算定表では、双方の年収から基礎収入を算出し、子どもの年齢と人数に応じた金額を読み取ります。裁判所や法律相談窓口で詳しい使い方を教えてもらえます。

養育費の支払いはいつまで続くものですか?

通常は子どもが経済的に自立するまでで、高校卒業後就職する場合は18歳頃、大学進学の場合は22歳頃までが一般的です。事前に期間を書面で明確にしておくことが重要です。

養育費の増額請求は可能ですか?

可能です。支払う側の収入増加や子どもの教育費増加など事情変更があれば増額請求できます。まずは話し合いを試み、合意できなければ調停を申し立てます。

養育費の金額は算定表以上に請求できますか?

できます。算定表はあくまで目安であり、子どもの特別な教育費や医療費などの事情があれば、それ以上の金額を請求できます。ただし合理的な根拠が必要です。

まとめ

養育費は子どもの健やかな成長と将来を支える大切なお金です。

離婚時の養育費相場は、子どもの人数や年齢、両親の収入状況によって変わります。

算定表を参考にしながらも、子どもの教育環境や必要な生活費を考慮した金額設定が重要です。

特に以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 子どもの年齢が上がるにつれて必要な養育費は増加する
  • 養育費の取り決めは必ず書面で行い、できれば公正証書にする
  • 支払期間は子どもの将来を見据えて設定する
  • 状況の変化に応じて増額・減額請求が可能

養育費の問題で悩んだら、専門家のアドバイスを受けることも検討してください。

最終的には、子どもの健全な成長と将来の可能性を第一に考えた判断が大切です。

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