性格の不一致で離婚|慰謝料の相場、知っておくべき6つのポイント

「性格が合わない」が理由で離婚を考えている方は少なくありません。
毎日一緒に過ごすパートナーとの性格の不一致は、日常生活のあらゆる場面で摩擦を生み出します。
しかし、性格の不一致を理由に離婚するには、法的にはどのような手続きが必要なのでしょうか?
実は「性格の不一致」だけでは、離婚理由として認められないケースもあるのです。
この記事では、性格の不一致による離婚について詳しく解説していきます。
離婚を考えている方の不安や疑問に寄り添いながら、具体的な手続きや注意点を分かりやすく解説します。
性格の不一致による離婚を考える理由とは?
結婚生活を送る中で、性格の不一致が原因で離婚を考える人は少なくありません。
パートナーとの価値観の違いや生活習慣の違いが、日々のストレスとなり積み重なっていくケースがよくあります。
性格の不一致が具体的にどのような形で現れるのか、また実際の統計からどれくらいの夫婦がこの理由で別れを選んでいるのかを見ていきましょう。

性格の不一致で離婚に至る夫婦の統計データ
厚生労働省の人口動態統計によると、性格の不一致は離婚理由のトップに位置しています。
全離婚原因の約50%が「性格の不一致」と報告されており、この数字は他の理由と比べても圧倒的に多いのです。
実際に性格の不一致が具体的に表れる形としては、以下のようなケースが多く見られます。
具体的な現れ方 | 日常生活への影響 |
---|---|
価値観の違い | お金の使い方、子育て方針、生活習慣など日常的な判断での衝突 |
コミュニケーションスタイルの違い | 会話の量や質、感情表現の方法の違いによる誤解や不満 |
ライフスタイルの違い | 趣味や余暇の過ごし方、社交性の差による不満 |
性格特性の相性 | 几帳面さと大雑把さ、計画性と即興性など相反する性質による摩擦 |
統計では「性格の不一致」と一括りにされていますが、実際には様々な形で日常生活に影響します。
例えば、一方が几帳面で計画的な性格、もう一方が大雑把で自由奔放な性格の場合、日々の家事や金銭管理で衝突が起きやすくなります。
また、婚姻期間別で見ると、結婚5年以内の比較的若い夫婦に性格の不一致による離婚が多い傾向があります。
特に理由はなくただ別れたいと感じる場合
明確な理由がなく「なんとなく合わない」と感じて離婚を考えるケースも少なくありません。
これは一見すると曖昧な理由に思えますが、実は日々の小さな違和感の積み重ねが大きなストレスとなっている証拠かもしれません。
「特に理由はない」という感覚の裏には、言語化しづらい性格の不一致が潜んでいることが多いのです。
例えば、以下のような感情を抱えているケースがあります。
- 一緒にいて疲れる、息が詰まる感じがする
- 会話が噛み合わない、共感できない
- 将来のビジョンや価値観に違いを感じる
- 些細なことでイライラすることが増えた
- 感情的な繋がりが薄れていると感じる
こうした漠然とした感情は「性格の不一致」という言葉でまとめられることが多いです。
日本の離婚制度では、離婚理由として「性格の不一致」を挙げることは珍しくありません。
ただし、裁判所で離婚を成立させるには、単に「合わない」だけでは難しい場合もあります。
次の章では、性格の不一致が法的にどう扱われるのか、具体的に見ていきましょう。

性格の不一致は離婚理由として認められるのか?
多くの夫婦が「性格の不一致」を理由に離婚を考えますが、法的にはどう扱われるのでしょうか。
日本の民法では、離婚が認められる法定の理由が定められていますが、「性格の不一致」はその中に明確には含まれていません。
性格の不一致は法的な離婚理由にならない
日本の民法第770条では、裁判離婚が認められる「法定離婚事由」として以下の5つが定められています。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
単なる「性格の不一致」だけでは、法定離婚事由の5番目「婚姻を継続し難い重大な事由」に当たらないというのが一般的な解釈です。
つまり、性格の不一致だけを理由に裁判所で離婚を成立させることは難しいといえます。
ただし、性格の不一致が原因で日常的な暴言や暴力、無視などの行為に発展している場合は別です。
そうした行動が「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められれば、裁判離婚も可能になります。
離婚方法 | 性格の不一致が認められるか | 必要な条件 |
---|---|---|
協議離婚 | ◯ | 双方の合意があれば可能 |
調停離婚 | △ | 話し合いで合意できれば可能 |
審判離婚 | × | 法定離婚事由が必要 |
裁判離婚 | × | 法定離婚事由が必要 |
協議離婚であれば、両者の合意があれば「性格の不一致」を理由にしても問題ありません。
多くの夫婦は、この協議離婚の形で性格の不一致による別れを選んでいます。
どの程度の性格の不一致があれば離婚が認められるか
では、どの程度の性格の不一致があれば、裁判所で離婚が認められるのでしょうか。
過去の裁判例から見ると、単なる意見の相違や趣味の違いなどの軽微な性格の不一致では、離婚は認められていません。
一方で、以下のような状況が重なると「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められる可能性が高まります。
- 長期間(数年以上)にわたって不和が続いている
- 夫婦間のコミュニケーションが完全に断絶している
- 性格の不一致から精神的、肉体的暴力に発展している
- 一方が家庭内での責任を果たしていない(家事放棄など)
- 修復の試みが複数回失敗している
裁判所が「この夫婦関係は修復不可能」と判断できるような客観的事実の積み重ねが必要になります。
例えば、ある裁判例では、10年以上別居が続き、話し合いの場を持っても解決に至らなかったケースで離婚が認められました。
また、性格の不一致から生じた言動が、相手の人格を否定するほどの深刻な精神的苦痛を与えているケースも該当します。
重要なのは、単に「合わない」というだけでなく、その不一致が日常生活にどれだけ深刻な影響を与えているかという点です。
次のセクションでは、性格の不一致による離婚の場合の慰謝料について詳しく見ていきましょう。

性格の不一致で請求できる慰謝料の相場
性格の不一致による離婚を考える際、気になるのが慰謝料の問題です。
果たして性格の不一致だけで慰謝料は発生するのか、またその金額はどれくらいなのでしょうか。
慰謝料相場は0円から50万円程度
性格の不一致による離婚の場合、慰謝料の相場は基本的に0円から50万円程度と考えられています。
これは他の離婚理由(不貞行為や暴力など)と比べると、かなり低い金額です。
なぜなら、性格の不一致は双方の問題であることが多く、一方だけに責任があるとは言い切れないためです。
また、相手の言動が明らかに不当で、精神的苦痛を与えた具体的な証拠がない限り、慰謝料の請求は難しくなります。
離婚理由 | 慰謝料相場 | 備考 |
---|---|---|
性格の不一致(基本) | 0~50万円 | 基本的には発生しない |
性格の不一致+モラハラ行為 | 50~100万円 | 証拠が必要 |
不貞行為 | 100~300万円 | 証拠があれば請求可能 |
DV、暴力 | 200~500万円 | 被害の程度による |
単純な性格の不一致だけでは、多くの場合慰謝料は発生しません。
しかし、性格の不一致から派生した言動がモラルハラスメントに該当する場合や、相手の言動により明らかな精神的苦痛を受けた場合は別です。
そのような場合は、50万円程度の慰謝料が認められるケースもあります。
性格の不一致での具体的事例
性格の不一致による離婚で慰謝料が発生するケースには、大きく分けて二つのパターンがあります。
離婚原因としての慰謝料
これは「性格の不一致から生じた相手の言動によって精神的苦痛を受けた」という場合の慰謝料です。
単なる意見の相違ではなく、人格否定や過度の干渉など、明らかな不法行為と言える行動が必要となります。
例えば以下のようなケースでは慰謝料が認められる可能性があります:
- 家族の前で日常的に人格を否定する発言を繰り返した
- 相手の趣味や交友関係に過度に干渉し、自由を奪った
- 無視や暴言などの精神的虐待に近い行為を長期間続けた
- 経済的に支配し、生活費を渡さないなどの行為があった
こうした行為が「性格の不一致」から生じたものであっても、相手に明らかな落ち度があれば慰謝料請求の対象になります。
ただし、これらの行為を証明するための客観的な証拠(録音やメール、第三者の証言など)が必要です。
離婚自体に対する慰謝料
もう一つは「離婚することで精神的苦痛を受ける」という理由での慰謝料です。
これは主に離婚を望まない側が請求するケースで、特に経済的に不利になる専業主婦(夫)などに認められやすい傾向があります。
ただし、近年の裁判では「離婚自体による慰謝料」は認められにくくなっていることに注意が必要です。
現代の価値観では、性格の不一致で合わないと感じたら離婚するのは自然な選択であり、それ自体が不法行為とは言えないという考え方が主流になっています。
実際の裁判例でも、性格の不一致による離婚で高額な慰謝料が認められたケースは非常に少なく、多くは0円か少額(10~30万円程度)となっています。
慰謝料よりも財産分与や養育費などの現実的な生活保障の方が重要と考えられている傾向があります。
次のセクションでは、性格の不一致で離婚を考える前に確認しておくべきポイントについて解説します。

性格の不一致で離婚する前に確認すべき6つのポイント
「性格が合わない」と感じて離婚を考える前に、立ち止まって確認すべきポイントがあります。
離婚は人生の大きな決断であり、感情的になって後悔する選択をしないよう冷静な判断が必要です。
1:性格の不一致が離婚理由として認められるか
性格の不一致だけでは、裁判離婚の理由として認められにくい現実を理解しておく必要があります。
前述したように、日本の民法では「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当しなければなりません。
そのため、協議離婚を目指すのか、それとも法的手続きを経る必要があるのかを最初に検討しましょう。
もし相手が離婚に同意しない場合、単なる性格の不一致だけでは調停や裁判で勝ち取るのは難しいことを覚えておいてください。
法的に離婚を成立させるには、より具体的な問題(モラハラ行為や家庭内での責任放棄など)が必要になるケースが多いです。
2:自分自身が変わる可能性があるか
相手だけでなく自分自身の性格や行動パターンも再考してみましょう。
人間関係の問題は往々にして相互的なもので、自分にも改善できる点があるかもしれません。
例えば、以下のような自己分析をしてみるといいでしょう:
- 自分のどんな言動が相手を不快にさせているか
- 自分の期待が現実的なものか
- コミュニケーション方法に改善の余地はないか
- 自分の変化で関係改善の可能性があるか
カウンセリングや夫婦セラピーなどの専門家の助けを借りることも効果的です。
第三者の視点から、お互いの性格の違いを客観的に分析してもらうことで、新たな気づきが得られるかもしれません。
3:共通の趣味や興味を新たに見つけられるか
性格の違いを感じていても、共通の時間や体験を増やすことで関係が改善する可能性があります。
新しい共通の趣味や活動を見つけることで、お互いの理解が深まり絆が強まることがあります。
例えば次のような方法を試してみてはいかがでしょうか:
共通体験の作り方 | 期待できる効果 |
---|---|
旅行に行く | 日常から離れて新鮮な気持ちで向き合える |
新しい習い事を始める | 共に学ぶ喜びを分かち合える |
週末のデートを定例化 | コミュニケーションの機会が増える |
共同プロジェクト(家の模様替えなど) | 協力して達成する経験が絆を強める |
お互いの性格の違いを認めつつも、共通点を見出す努力をすることで新たな関係構築ができるかもしれません。
時には「違い」を「個性」として尊重し合うことで、関係が深まることもあります。
4:別居期間を設けて考える時間を作る
すぐに離婚を決断するのではなく、一定期間の別居を検討してみるのも一つの方法です。
物理的な距離を置くことで、お互いの存在価値や関係性を客観的に見つめ直す機会になります。
別居中に確認すべきポイントとしては以下が挙げられます:
- 別居して楽になったか、それとも寂しさを感じるか
- 相手がいない生活でどのような感情が湧くか
- 時間が経つにつれて気持ちはどう変化するか
- 関係修復への意欲が生まれるか
ただし、別居期間中も定期的なコミュニケーションを取りながら、お互いの気持ちや変化を共有することが大切です。
また、別居費用が二重にかかることも考慮して、期間を明確に設定しておくとよいでしょう。

5:子どもがいる場合の対応を考える
子どもがいる家庭では、離婚が子どもに与える影響を慎重に考える必要があります。
子どもの年齢や性格によって受ける影響は異なりますが、どんな場合でも心理的な負担は避けられません。
子どもへの影響を最小限に抑えるための検討ポイントとしては:
- 親権、監護権をどうするか
- 面会交流の頻度と方法
- 養育費の金額と支払い方法
- 子どもへの説明の仕方と時期
夫婦間の問題と親子関係は切り離して考えることが重要です。
たとえ配偶者との関係がうまくいかなくても、子どもにとっては両親ともに大切な存在であることを忘れないでください。
離婚後も子どもの福祉を最優先に考え、両親が協力して子育てを続ける態勢を整えることが理想的です。

6:新婚期の喧嘩は成長過程として捉える
結婚して間もない時期の対立は、お互いの違いを知り適応していく過程の一部かもしれません。
新婚1~3年目の対立や喧嘩は、二人の関係が成熟していく自然なプロセスであることが多いのです。
- 家事分担や生活習慣の違いによる摩擦
- お金の使い方や管理方法の違い
- 親族との付き合い方に関する意見の相違
- コミュニケーションスタイルの違いによる誤解
こうした初期の対立は必ずしも「性格の不一致」ではなく、単に二人の生活スタイルが調和していく過程かもしれません。
時間をかけて対話を重ね、お互いの違いを理解し尊重する関係を築くことで解決できる場合も多いです。
次のセクションでは、性格の不一致を理由とした離婚手続きの実際について解説します。
性格の不一致による離婚は協議離婚か調停離婚での解決
性格の不一致を理由に離婚を進める場合、多くのケースでは協議離婚か調停離婚という形で話が進みます。
裁判離婚は、性格の不一致だけを理由にするとハードルが高くなるためです。
裁判離婚には法定の離婚事由が必要
日本の離婚制度には大きく分けて4種類あり、それぞれ性格の不一致が理由として扱われ方が異なります。
協議離婚と調停離婚では性格の不一致が理由として認められますが、審判離婚と裁判離婚では法定事由が必要です。
離婚の種類 | 性格不一致の扱い | 特徴 |
---|---|---|
協議離婚 | ◯(理由自由) | 夫婦の合意のみで成立。 離婚届に記入するだけでよい |
調停離婚 | ◯(話し合い次第) | 家庭裁判所の調停委員を交えて話し合う |
審判離婚 | ×(法定事由必要) | 調停不成立の場合に家庭裁判所が審判 |
裁判離婚 | ×(法定事由必要) | 地方裁判所での訴訟。原告が法定事由を証明する必要あり |
まずは協議離婚が最もスムーズな方法です。
両者が離婚に合意し、親権や財産分与、養育費などの条件で折り合いがつけば、離婚届を提出するだけで成立します。
もし協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停に移行します。
調停では専門の調停委員が間に入り、両者の歩み寄りを促します。
この段階でも性格の不一致を理由とすることは可能で、話し合いがまとまれば調停離婚が成立します。
しかし調停でも合意に至らない場合は、審判または裁判へと進むことになります。
この段階になると、単なる性格の不一致では離婚が認められず、民法に定められた法定離婚事由の証明が必要になります。
性格の不一致でも離婚が認められるケース
裁判で性格の不一致による離婚が認められるのは、それが「婚姻を継続し難い重大な事由」と判断される場合です。
過去の裁判例から見ると、単なる趣味や意見の相違ではなく、生活に深刻な支障をきたす状況が必要です。
具体的には以下のようなケースで離婚が認められる可能性が高まります:
- 長期間(3~5年以上)の別居状態が続いている
- 夫婦としての共同生活の実態が完全に失われている
- 性格の不一致から日常的な暴言や精神的虐待に発展している
- 修復の試みが複数回行われたが失敗している
- 性格の不一致が原因で一方が精神疾患を発症した
裁判離婚を検討する場合は、必ず専門の弁護士に相談することをおすすめします。
自分のケースが法定離婚事由に該当するかどうか、また証拠の収集方法などについて適切なアドバイスを受けられます。
裁判となった場合、以下のような証拠が有効です:
- 相手の問題行動を記録した日記
- 録音やメールなどの記録
- 第三者の証言
- 精神的苦痛による通院記録
- カウンセリングの記録
ただし、性格の不一致による離婚は、できれば協議または調停で解決するのが望ましいでしょう。
裁判まで進むと、費用や時間、精神的負担が大きくなるだけでなく、プライバシーが公になるリスクもあります。
次のセクションでは、性格の不一致による離婚についてよくある質問に答えていきます。

よくある質問
性格の不一致による離婚について、読者からよく寄せられる質問に簡潔にお答えします。
- 性格の不一致で離婚する具体例にはどのようなものがありますか?
- 性格の不一致による離婚で慰謝料の相場はいくらですか?
- 性格の不一致で離婚した後に後悔することはありますか?
- 性格の不一致で離婚する場合、子供への影響はどうなりますか?
- 子供がいない場合の性格の不一致による離婚は進めやすいですか?
- 性格の不一致を理由に離婚を切り出す方法を教えてください。
- わがままが原因で性格の不一致とされるケースはありますか?
- 性格の不一致の裏に隠れた本当の離婚理由はどのようなものですか?
- 性格の不一致を解決する方法はありますか?
- 性格の不一致での離婚調停で弁護士は必要ですか?
まとめ
性格の不一致による離婚は、日本の離婚理由の中でも最も多いケースですが、法的な扱いには注意が必要です。
協議離婚や調停離婚では理由として認められますが、裁判離婚では単なる性格の不一致だけでは難しく、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する必要があります。
慰謝料は基本的に0円から50万円程度と他の離婚理由と比べて低額で、明らかな不法行為がなければ発生しないケースも多いです。
離婚を決断する前に、カウンセリングの利用や別居期間の設定など、様々な選択肢を検討することが大切です。
特に子どもがいる場合は、その影響を十分に考慮した上で判断しましょう。
最終的には、感情に流されず冷静な判断と、必要に応じて専門家(弁護士やカウンセラー)のサポートを受けることが、後悔のない決断につながります。