不倫と浮気の違いは?慰謝料請求に与える影響をわかりやすく解説

不倫と浮気の違い

配偶者の行動が怪しい…もしかして浮気?それとも不倫?明確にどう違うのか分からずモヤモヤしていませんか?

浮気と不倫は日常会話で混同されがちですが、法律上では全く異なる扱いを受けます。

「不倫」と「浮気」の違いを理解することは、慰謝料請求の可能性や離婚協議において重要なポイントとなるのです。

特に既婚者の場合、単なる浮気なのか、それとも法的責任を問われる不倫なのかによって、その後の対応が大きく変わってきます。

この記事では、不倫と浮気の違いについて3つの明確なポイントから解説していきます。

法律の知識がなくても理解できるよう、具体例を交えながら分かりやすく説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。

目次

不倫と浮気の違いは3つのポイントで見分ける

「不倫」と「浮気」という言葉は日常会話で混同されがちですが、実は明確な違いがあります。

両者の区別は法的責任や慰謝料請求の可能性に大きく影響するため、正しく理解しておくことが重要です。

この3つのポイントを理解すれば、あなたや配偶者の行動が法的にどのように判断されるのかが明確になるでしょう。

既婚者か独身者か

不倫と浮気を区別する最も基本的なポイントは、関係者の婚姻状況です。

一般的に、「不倫」は少なくとも一方が既婚者である関係を指し、「浮気」は恋人同士や婚約者など法的な婚姻関係がない場合を指します

たとえば、既婚者Aさんが独身のBさんと関係を持った場合、これはAさんにとっては「不倫」となります。

一方、婚約中のCさんがDさんと関係を持った場合は「浮気」と呼ばれることが多いでしょう。

法律上、配偶者がいる人が婚姻関係外で関係を持つことは「不貞行為」と定義され、慰謝料請求の対象になり得ます。

このように、不倫と浮気の区別は単なる言葉の使い分けではなく、法的責任の有無に関わる重要な違いなのです。

既婚者でも一時的な遊びなら浮気と呼ばれることも

ただし、日常会話では既婚者の場合でも、関係の深さによって呼び方が変わることがあります。

例えば、既婚者が一夜限りの関係を持った場合、「ちょっと浮気した」というように表現されることもあるでしょう。

しかし、法律上は既婚者の婚姻外関係は、その期間や深さに関わらず「不貞行為」として扱われる可能性があります

つまり、日常的な言葉の使い方と法的な定義には違いがあることを理解しておきましょう。

「ただの浮気だから大丈夫」という考えは、法的には通用しないケースが多いのです。

遊びか本気か

不倫と浮気の2つ目の違いは、関係の本気度や継続性にあります。

一般的に「不倫」は比較的長期間続く関係や感情的に深い関わりを指すことが多いでしょう。

「浮気」は一時的な気の迷いや遊びの要素が強く、感情的な繋がりが薄い関係を指す傾向があります

例えば、仕事関係の付き合いから発展した関係が数か月以上続き、感情も深まっているケースは「不倫」と呼ばれやすいでしょう。

対して、飲み会の帰りに一度だけ関係を持ったような場合は「浮気」と表現されることが多いです。

ただし、この区別は法的な判断ではなく、あくまで社会的な受け止め方の違いであることに注意が必要です。

一時的で本気度がない場合は浮気

関係の継続性という観点では、一度きりの関係や短期間で終わった関係は「浮気」と捉えられることが多いでしょう。

「その場の流れ」や「酔った勢い」などの一時的な判断ミスによる行為は、一般的に浮気のカテゴリーに入ります。

たとえ既婚者であっても、こうした一時的な関係を「不倫」ではなく「浮気した」と表現することが多いのはこのためです。

しかし法的には一度きりの関係でも、既婚者の場合は不貞行為として慰謝料請求の対象になりうる点に注意が必要です。

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配偶者への愛情が残っているかどうか

もう一つの判断基準として、配偶者への愛情の有無があります。

「浮気」の場合、配偶者への愛情はまだ残っており、別れる意思はないケースが多いでしょう。

一方、「不倫」は配偶者との関係がすでに冷え切っていたり、不倫相手との将来を考えたりするなど、より深刻な状況であることが少なくありません。

浮気は「配偶者も大切だが、ちょっと浮ついた気持ちになった」というニュアンスがあるのに対し、不倫は「本気で好きになってしまった」という要素を含むことが多いのです。

この違いは離婚調停や裁判での慰謝料額にも影響することがあります。

肉体関係の有無

3つ目の違いとして、肉体関係の有無が挙げられます。

法的には、不貞行為と認められるためには肉体関係の存在が重要な判断材料となります。

単なる精神的な繋がりや感情的な結びつきだけでは、法的な不貞行為として認められにくいのが現状です。

不倫と浮気の違いを法的観点から見た場合、肉体関係があり、かつ少なくとも一方が既婚者である場合に「不貞行為」として認められます

たとえば、既婚者が異性と頻繁にメールやLINEでやり取りしているだけの状態では、感情的には「浮気」と感じられても、法的には不貞行為と認められない可能性が高いでしょう。

しかし、ホテルへの出入りや旅行の記録など、肉体関係を強く示唆する証拠がある場合は、不貞行為として認められる可能性が高まります。

このように、不倫と浮気の区別は日常的な言葉の使い方だけでなく、法的な責任の有無にも直結する重要な問題なのです。

不倫と浮気の慰謝料、対象は「既婚者のみ」

不倫と浮気の最も大きな違いは、法的責任の面に現れます。

慰謝料を請求できるのは原則として「不倫」の場合だけであり、単なる「浮気」では難しいことが多いのです。

法律上、慰謝料請求の対象となるのは婚姻関係にある配偶者の「不貞行為」であり、これは主に既婚者の不倫を指します

例えば、婚約者が浮気しても、まだ法律上の婚姻関係がないため慰謝料請求権が自動的に発生するわけではありません。

とはいえ、婚約関係や内縁関係でも一定の条件を満たせば、慰謝料請求が認められるケースもあります。

では、なぜ既婚者の不倫が法的責任を問われるのか、またどのような法的根拠があるのかについて見ていきましょう。

このセクションで説明する内容
  • 婚約者や内縁関係でも浮気の慰謝料請求は可能
  • 既婚者の不倫で慰謝料請求が認められる理由とは?
  • 不倫に関する慰謝料の法的根拠

婚約者や内縁関係でも浮気の慰謝料請求は可能

婚姻関係がなくても、一定の条件下では浮気に対する慰謝料請求が認められることがあります。

特に婚約者間の場合、結婚の約束という特殊な関係性に基づいて請求が認められるケースがあるのです。

例えば、婚約が成立していて結婚式の日取りも決まっていたような場合、婚約破棄によって精神的苦痛を受けたとして慰謝料請求が認められることがあります

また、内縁関係(事実婚)の場合も、法律上の婚姻と同様に扱われる可能性があります。

内縁関係とは、婚姻届を提出していないものの、実質的に夫婦と同様の生活を送っている関係を指します。

内縁関係が認められるためには、同居していることや生計を共にしていることなどの条件があり、これらを満たせば法的保護の対象となりえます。

ただし、単なる恋人関係での浮気に対する慰謝料請求はほとんど認められません

恋人同士の関係は法的に保護された関係ではないため、浮気されても法的な賠償請求権は発生しないのが一般的です。

既婚者の不倫で慰謝料請求が認められる理由とは?

既婚者の不倫が慰謝料請求の対象となる根本的な理由は、民法に定められた夫婦間の義務に関わっています。

婚姻関係にある夫婦は互いに貞操義務を負っており、この義務に違反する行為が「不貞行為」として法的責任を問われるのです。

不倫は単なる道徳的な問題ではなく、法律で保護された権利を侵害する行為として扱われます

そのため、不倫された配偶者は精神的苦痛に対する慰謝料を請求できるのです。

また、民法では第709条(不法行為の一般規定)により、故意または過失によって他人の権利を侵害した者は損害賠償責任を負うと定められています。

不倫相手も、相手が既婚者と知りながら関係を持った場合、この不法行為に加担したとして慰謝料請求の対象となります。

貞操義務とはなにか?

貞操義務とは、夫婦が互いに性的な誠実さを守る義務のことです。

民法上、明文化された規定はありませんが、夫婦間の義務として判例や学説で確立されています。

貞操義務は婚姻関係にある夫婦双方に課せられるもので、性別による区別はありません

かつては女性にのみ課せられる義務と考えられていた時代もありましたが、現代では男女平等の原則から、夫婦双方が同等に負うべき義務とされています。

貞操義務に違反する行為、つまり配偶者以外との性的関係を持つことは、婚姻関係を破壊する行為として法的責任が問われます。

この義務があるからこそ、不倫は単なる道徳的な問題ではなく、法的な問題として扱われるのです。

不貞行為とは

法律上の「不貞行為」とは、配偶者以外の異性と性的関係を持つことを指します。

不貞行為が認められるためには、肉体関係の存在が最も重要な要素となります。

単なる精神的な関係や感情的な繋がりだけでは、通常「不貞行為」とは認められません

例えば、異性と食事に行ったり、メールやLINEでやり取りしているだけでは、配偶者に不快感を与えるかもしれませんが、法的な意味での不貞行為には当たらないのが一般的です。

ただし、不貞行為の証明は必ずしも容易ではありません

直接的な証拠がなくても、ホテルへの出入りやラブホテルの領収書、二人きりでの旅行の証拠など、肉体関係の存在を強く推認させる間接証拠によって認められることもあります。

このような証拠収集は、離婚や慰謝料請求を考える際に重要になってくるでしょう。

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不倫に関する慰謝料の法的根拠

不倫に関する慰謝料請求の法的根拠は主に民法に基づいています。

具体的には、民法第709条(不法行為の一般規定)と第710条(財産以外の損害の賠償)が関わってきます。

民法第709条では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています

不倫の場合、配偶者の貞操義務違反により、婚姻関係における平穏な生活を送る権利が侵害されたと考えられるのです。

また、民法第710条では「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」とされています。

これにより、精神的苦痛に対する慰謝料請求が可能となっているのです。

慰謝料請求は不倫された配偶者から不倫した配偶者に対してだけでなく、不倫相手に対しても行うことができます。

相手が既婚者と知りながら関係を持った場合、婚姻関係を侵害する不法行為に加担したとして、共同不法行為者としての責任を問われるのです。

ただし、不倫相手が相手の既婚状態を知らなかった場合は、責任を問われないケースもあります

このように、不倫と浮気の区別は単なる言葉の使い分けではなく、法的責任の有無に関わる重要な問題です。

特に婚姻関係がある場合は、「ただの浮気」と軽く考えず、法的な責任が発生する可能性を認識しておくことが大切でしょう。

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よくある質問

不倫と浮気の違いについて、読者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

法的な観点から見た不倫と浮気の区別や、慰謝料請求の可能性について参考にしてください。

よくある質問
  • 不倫と浮気の線引きはどこからですか?
  • 既婚者の浮気と不倫の特徴を教えてください。
  • 不貞行為による慰謝料はいくらになりますか?
  • 浮気や不倫が発覚した後の離婚の流れはどうなりますか?
  • 配偶者の浮気や不倫の兆候にはどのようなものがありますか?

不倫と浮気の線引きはどこからですか?

一般的に、既婚者が関わる場合は「不倫」、婚姻関係のない恋人同士の場合は「浮気」と区別されます。

法的には既婚者の場合、肉体関係があれば「不貞行為」として慰謝料請求の対象になります。

既婚者の浮気と不倫の特徴を教えてください。

既婚者の場合、一時的で感情的な繋がりが薄い関係は「浮気」、継続的で感情が深まった関係は「不倫」と呼ばれることが多いです。

ただし法的には、どちらも「不貞行為」として扱われる可能性があります。

不貞行為による慰謝料はいくらになりますか?

一般的に100万円〜300万円程度が相場ですが、関係の期間や不倫の証拠の明確さ、家庭への影響度合いなどにより変動します。

悪質なケースでは500万円以上になることもあります。

浮気や不倫が発覚した後の離婚の流れはどうなりますか?

話し合いによる協議離婚が最も一般的です。

合意に至らない場合は、調停離婚、それでも解決しなければ裁判離婚へと進みます。

不貞行為は民法上の離婚原因となるため、裁判でも有利に働くことが多いでしょう。

配偶者の浮気や不倫の兆候にはどのようなものがありますか?

帰宅時間の遅れや休日外出の増加、スマホの過度な警戒、服装や髪型の変化、家族との会話の減少などが一般的な兆候です。

ただし、これらは必ずしも浮気や不倫を意味するわけではないので、冷静な判断が必要です。

まとめ

この記事では、「不倫」と「浮気」の明確な違いについて解説しました。

不倫と浮気の違いは、主に「既婚者か独身者か」「遊びか本気か」「肉体関係の有無」の3つのポイントで見分けることができます。

法的には、既婚者が関わる「不倫」の場合のみ貞操義務違反による不貞行為として認められ、慰謝料請求の対象となります。

一方、法律婚ではない恋人関係での「浮気」については、原則として法的責任を問うことは難しいでしょう。

ただし、婚約関係や内縁関係など特殊なケースでは、一定の条件を満たせば慰謝料請求が認められる可能性もあります。

不倫問題は感情的になりがちですが、法的な観点から冷静に判断し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

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