不倫が原因の離婚|養育費はどちらが払う?相場金額と支払期間を解説

不倫が原因で離婚することになった場合、養育費についてどのように取り決めるべきか悩まれていませんか?
配偶者の不貞行為によって家庭が壊れてしまうと、子どもの将来に不安を感じるのは当然です。
「不倫した方が養育費を多く払うべき?」「妻が不倫した場合でも養育費はもらえるの?」など、疑問は尽きないでしょう。
この記事では、不倫が原因の離婚における養育費について、法律の専門家の視点から分かりやすく解説していきます。
不倫問題で悩む方の立場に寄り添いながら、具体的な事例や法的根拠を交えて説明します。
お子さんの将来のためにも、正しい知識を身につけて適切な養育費を確保しましょう。
養育費について知っておく基本知識
養育費とは、子どもが経済的に自立するまでの間、親が負担する生活費や教育費のことを指します。
離婚後、子どもと一緒に暮らす親(監護親)と別居する親(非監護親)の間で取り決める必要があります。
不倫が原因で離婚する場合でも、養育費の支払い義務は変わりません。
養育費は子どもの権利であり、親の不貞行為の有無にかかわらず必ず支払われるべきものです。
法律上、養育費は親としての当然の義務とされており、たとえ不倫をした側であっても、子どもに対する責任は免れません。
- 養育費は子どもの権利であり、親の義務である
- 不倫の有無に関わらず支払い義務がある
- 親権者と監護権者が異なる場合もある
- 養育費の金額は家庭裁判所の算定表を参考に決定される
- 養育費の取り決めは公正証書にすることが望ましい
養育費の問題は、離婚時に必ず取り決めておくべき重要事項です。
特に不倫が原因の離婚では感情的になりがちですが、子どもの将来のためにも冷静な話し合いが必要です。
子どもの年齢や教育状況、両親の収入などを考慮して、適切な養育費を設定しましょう。
養育費の取り決めができたら、必ず公正証書などの書面に残しておくことをおすすめします。
不倫が離婚原因の場合の養育費はどう支払われる?
不倫が原因で離婚する場合でも、養育費の支払い義務に変わりはありません。
ただし、実際の支払い方法や金額は状況によって異なることがあります。
以下では、それぞれのケースについて詳しく解説します。
夫が不倫して妻が親権者となるケース
夫の不倫が原因で離婚し、妻が子どもの親権を持つケースが最も一般的です。
この場合、夫は非監護親として妻に養育費を支払う義務があります。
不倫をした側が養育費を多く支払うよう請求されることがありますが、法的には認められていません。
養育費は子どもの権利であり、不倫という事実は基本的に金額に影響しないのです。
ただし、夫が自分の不倫に対する道義的責任から、標準より多めの養育費を支払うことに合意するケースはあります。
例えば、月々の養育費に加えて教育費や医療費を別途負担したり、習い事の費用を上乗せしたりするなどです。
あくまで話し合いで決めることができますが、強制力はありません。

妻が不倫して夫が親権者となるケース
妻の不倫が原因で離婚し、夫が子どもの親権者になるケースもあります。
この場合、妻は非監護親として夫に養育費を支払う義務があります。
不倫をした側(妻)が養育費を支払う立場になりますが、養育費の金額は不倫の有無ではなく、両親の収入や子どもの年齢などで決まります。
妻の収入が夫より少ない場合、養育費の金額も比例して少なくなるのが一般的です。
中には、「不倫をしたのだから養育費を支払わなくてよい」と主張する夫もいますが、これは法的に誤った考え方です。
子どもには両親から養育を受ける権利があるため、妻が不倫をしていても養育費の支払い義務は免除されません。
ただし、妻が経済的に困窮している場合は、当面の間は少額の養育費から始めて、状況が改善したら増額するという柔軟な対応も可能です。

妻が不倫しても妻が親権を持つケース
妻が不倫をしていても、子どもの親権は妻が持つケースもあります。
日本では、特に乳幼児の場合、母親が親権者となることが多いからです。
この場合、夫は非監護親として養育費を支払う義務があります。
妻の不倫が原因で離婚する場合でも、それを理由に養育費を減額・免除することはできません。
「不倫した妻に養育費を払いたくない」と感じる夫もいるかもしれませんが、養育費は子どものためのものです。
不倫という道徳的な問題と、子どもを養育する経済的な責任は別のことと理解しましょう。
ただし、夫側としては慰謝料請求をすることで経済的なバランスを取ることができます。
慰謝料と養育費は別の性質を持つ金銭であり、相殺できないことも覚えておきましょう。

養育費の相場はいくら?お支払いの期間がある?
不倫が原因で離婚する場合も、養育費の相場は一般的な離婚と同じ基準で決まります。
金額や支払い期間について、しっかり知識を持っておきましょう。
養育費の一般的な相場
養育費の金額は、主に以下の要素によって決まります。
「子どもの年齢」「子どもの人数」「両親の収入」この3つが最も重要な考慮点です。
養育費の算定には、裁判所が公開している「養育費算定表」が広く利用されています。
この表を基に、一般的な養育費の相場を紹介します。
子どもの年齢 | 父親の年収400万円 母親の年収200万円の場合 | 父親の年収600万円 母親の年収200万円の場合 |
---|---|---|
0歳〜14歳 | 月額4〜5万円 | 月額5〜6万円 |
15歳〜19歳 | 月額5〜6万円 | 月額6〜7万円 |
不倫があっても、基本的にはこの算定表に基づいて金額が決まります。
ただし、私立学校に通わせる場合や習い事の費用など、特別な支出がある場合は別途話し合うことが一般的です。
養育費は月々決まった金額を支払うことが多いですが、年間の教育費を一括で支払うなど、柔軟な取り決めも可能です。
養育費の支払いはいつ始まり、いつ終わる?
養育費の支払いは、離婚成立の翌月から始まるのが一般的です。
別居中から支払うケースもありますが、それは慰謝料や財産分与とは別に考えます。
養育費の支払い終了時期は、子どもが経済的に自立するまでが原則です。
一般的には次のいずれかのタイミングまで支払いが継続します。
- 子どもが成人(20歳)に達するまで
- 高校卒業まで(18歳〜19歳頃)
- 大学卒業まで(22歳〜23歳頃)
- 就職して経済的に自立するまで
特に大学進学など高等教育に関しては、離婚時に明確に取り決めておくことが重要です。
不倫が原因の離婚でも、子どもの教育を受ける権利は守られるべきなので、冷静に話し合いましょう。
もし子どもが障がいを持ち、長期的なサポートが必要な場合は、成人後も養育費の支払いが続くこともあります。
養育費の話し合いがまとまったら公正証書に明記する
養育費の取り決めができたら、必ず公正証書として残しておくことが重要です。
特に不倫が原因の離婚では、感情的なしこりが残りやすいため、書面化は必須といえます。
公正証書には、支払い金額や支払い方法だけでなく、以下の項目も明記しておきましょう。
- 支払い期間 (いつからいつまで支払うか)
- 支払日 (毎月○日など)
- 支払い方法 (銀行振込など)
- 支払いが滞った場合の対応
- 将来の増減額の条件 (収入の変化など)
- 特別な費用 (教育費・医療費など)の負担方法
公正証書には強制執行認諾文言を入れておくと、万が一支払いが滞った場合に裁判なしで差し押さえができます。
不倫という事情があっても、養育費の支払いは子どもの権利なので、確実に履行されるよう対策を講じておくことが大切です。
公正証書の作成には費用がかかりますが、将来のトラブル防止のためにも必要な投資と考えましょう。

配偶者や不倫相手に慰謝料を請求できるか?
不倫が原因で離婚する場合、養育費とは別に慰謝料請求を検討する方も多いでしょう。
精神的苦痛に対する賠償として、配偶者だけでなく不倫相手にも請求できる可能性があります。
不貞行為の証拠が揃っていれば慰謝料請求が可能
不倫による慰謝料を請求するには、相手の不貞行為を証明する証拠が必要です。
感情的になりがちですが、冷静に証拠集めを行うことが重要です。
慰謝料請求の対象は、不倫をした配偶者だけでなく、不倫相手(第三者)にも及びます。
法律上、これを「不法行為による損害賠償請求」と言います。
有効な証拠としては、以下のようなものが挙げられます。
- ホテルの領収書やカード明細
- 二人で撮った写真や動画
- ラブレターやメール、LINE等のメッセージ
- 目撃情報や第三者の証言
- 探偵による調査報告書
不倫の慰謝料相場は、夫婦の社会的地位や収入、不倫期間などによって異なりますが、一般的には100万円〜300万円程度です。
不倫相手への慰謝料も同程度の金額が目安となります。
ただし、不倫相手が既婚者だったり、不倫期間が長期に及んだりした場合は、より高額になることもあります。
慰謝料を求める際の進め方
慰謝料請求を行う場合は、以下のステップで進めるのが一般的です。
法的な知識がなくても、基本的な流れを理解しておくと安心です。
まずは証拠を集めてから、内容証明郵便で請求するのが効果的です。
具体的な手順を見ていきましょう。
ステップ | 内容 |
---|---|
1. 証拠収集 | 不貞行為の証拠を集める (探偵依頼も検討) |
2. 弁護士相談 | 証拠の有効性と慰謝料の相場を確認 |
3. 内容証明郵便 | 請求の意思表示と金額を通知 |
4. 話し合い | 相手方と直接または代理人を通じて交渉 |
5. 調停申立て | 話し合いがまとまらない場合に家庭裁判所に申立て |
6. 訴訟提起 | 調停不成立の場合、最終手段として訴訟 |
弁護士に依頼すると費用はかかりますが、専門的な助言を得られ、精神的な負担も軽減できます。
特に相手が慰謝料支払いを拒否する場合は、法的手続きが必要になるため、プロの力を借りる方が効果的です。
慰謝料と養育費は別の性質を持つ金銭なので、養育費を減額する代わりに慰謝料を免除するなどの相殺はするべきではありません。
子どもの生活に直結する養育費は確実に確保した上で、別途慰謝料請求を進めることをおすすめします。

よくある質問
不倫と養育費について、読者の皆さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
離婚手続きを進める際の参考にしてください。
- 不倫が原因で離婚する場合、養育費は変わりますか?
- 妻の浮気が原因で離婚した場合も養育費の支払い義務はありますか?
- 養育費の相場はどのように決まるのか教えてください。
- 不貞行為の相手に対しても慰謝料請求はできますか?
- 養育費と慰謝料を相殺することは可能ですか?
- 子どもが実子でない場合(托卵)でも養育費を支払う義務がありますか?
- 養育費を払わないとどうなるのか教えてください。
- 親権を持たない場合でも養育費を請求できますか?
- 離婚前から別居している場合の養育費はどうなりますか?
- 年収が変わった場合、養育費の金額も変更できますか?
まとめ
不倫が原因で離婚する場合でも、養育費の支払い義務は変わりません。
養育費は子どもの権利であり、親の不貞行為の有無にかかわらず保障されるべきものです。
金額は両親の収入や子どもの年齢などを考慮して決められ、一般的な相場は月4〜7万円程度です。
養育費の支払いは子どもが経済的に自立するまで継続するのが原則で、多くの場合は高校卒業または大学卒業までとなります。
不倫に対する慰謝料請求は、養育費とは別の問題として考え、子どもの生活を最優先に考えることが大切です。
養育費の取り決めは必ず書面に残し、できれば公正証書にすることで将来のトラブルを防ぎましょう。
離婚は感情的になりがちですが、子どもの将来のためにも冷静な話し合いを心がけ、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。