面会交流権とは?具体的な取り決め事項とトラブルの対処法を解説

離婚や別居により、子どもと離れて暮らすことになった親にとって「面会交流権」は非常に重要な権利です。
しかし、面会交流権について正しく理解していないと、子どもとの大切な時間を失ってしまうかもしれません。
面会交流権は単なる親の権利ではなく、子どもの健全な成長のためにも欠かせない要素なのです。
面会交流の頻度や方法、拒否された場合の対処法など、多くの疑問や不安を抱えていませんか?
この記事では、面会交流権の基本から具体的な取り決め方法、トラブル対応まで詳しく解説していきます。
離婚や別居を経験された方も、これから経験するかもしれない方も、面会交流権について正しい知識を身につけることで、子どもとの関係を守ることができます。
面会交流権の基本的な意味とは?
離婚や別居によって子どもと別々に暮らすことになった親と子どもが定期的に会うための権利を「面会交流権」と呼びます。
この権利は単なる面会だけでなく、電話やビデオ通話、手紙のやり取りなども含む幅広い交流を保障するものです。
面会交流は子どもの健全な成長に欠かせない要素であり、別居親との関係を維持することで子どものアイデンティティ形成にも役立ちます。
ここでは面会交流権の基本的な意味と、その法的な位置づけについて詳しく解説していきましょう。
- 面会交流権は法律で保障された権利
- 離婚前の別居中でも認められる権利
面会交流権は法律で保障された権利
面会交流権は民法に明確に規定された権利です。
民法第766条では、子どもの監護に関する事項を定める際には、子どもの利益を最も優先して考慮すべきとされています。
この「監護に関する事項」の中に面会交流が含まれ、法律上の正当な権利として位置づけられているのです。
離婚後も親子関係は継続するという考え方が、面会交流権の法的根拠となっています。
つまり、離婚によって夫婦関係は終了しても、親としての責任や権利は消滅しないということです。
子どもとの面会交流を希望する場合、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることも可能です。
法律の保障があることで、子どもと離れて暮らす親の権利が守られる仕組みになっています。
離婚前の別居中でも認められる権利
面会交流権は、すでに離婚が成立している場合だけでなく、離婚前の別居中でも認められる権利です。
別居中の親にとって、子どもとの関係を維持することは将来の親子関係にも大きく影響します。
たとえば、離婚協議中で別居している場合でも、子どもと定期的に会う権利があります。
別居中の面会交流は、子どもに不安や混乱を与えないためにも重要な意味を持ちます。
子どもにとっては、突然親の一方と会えなくなることは精神的なダメージとなる可能性があるからです。
別居中の面会交流についても、当事者間で話し合いがつかない場合は家庭裁判所の調停を利用できます。
早い段階から面会交流の環境を整えることで、子どもの安定した生活を守ることができるでしょう。
面会交流権は誰のための権利か
面会交流権は単に親のためだけの権利ではありません。
子どもの健全な成長や情緒的な安定のためにも欠かせないものとして考えられています。
実際には、親の権利と子どもの権利という両面から捉えることが大切です。
このセクションでは、面会交流権の本質と、それが持つ複合的な意味について掘り下げていきます。
子どもと離れて暮らす親の側のため
面会交流権は、まず子どもと別居している親にとって重要な権利です。
離婚や別居によって日常的に子どもと接することができなくなった親が、親子関係を維持するための大切な手段となります。
別居親にとって、子どもの成長を見守り続けることは親としての責任であり喜びでもあります。
面会交流を通じて親子の絆を維持することは、別居親の精神的な支えにもなります。
定期的な交流がない状態が続くと、親子の関係性が希薄になってしまう恐れがあるのです。
また、子どもの教育や将来について意見を伝える機会を持つことも、親としての権利の一部と言えるでしょう。
面会交流によって親としての自覚や責任感を維持することができ、それが子どもへの養育費の支払いなど他の責任を果たすモチベーションにもつながります。
子どもと離れて暮らす親のためだけではない
面会交流権は別居親だけでなく、子ども自身のためにも非常に重要な権利です。
子どもにとって、両親との絆を維持することは心理的な安定や健全な人格形成に欠かせない要素となります。
実際、最高裁判所は過去の判例で「子どもと別居親との交流は、子どもの利益になる」という見解を示しています。
子どもは両親から愛され、両親との関係を継続する権利を持っているという考え方が国際的にも広まっています。
国連の「子どもの権利条約」でも、子どもが親から分離されている場合、定期的に親と人的な関係や直接の接触を維持する権利を尊重すべきと定められています。
面会交流によって子どもは両親の存在を実感し、自分のルーツを理解することができます。
また、両親からそれぞれ異なる価値観や経験を学ぶことで、より豊かな人間性を育むことができるでしょう。
親の一方と会えないという喪失感が、子どもの自己肯定感を低下させるリスクを考えると、面会交流の重要性がより明確になります。
面会交流方法を決めるための判断基準
面会交流の方法を決める際には、何よりも「子どもの最善の利益」を最優先に考慮することが基本となります。
子どもの年齢や発達段階、生活環境、両親との関係性など、さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。
また、別居親の生活状況や住居環境、子どもとの過去の関わり方なども重要な判断材料となります。
面会交流の頻度や方法は、子どもの生活リズムや学校行事などを考慮して、無理なく継続できる形が望ましいでしょう。
たとえば、乳幼児の場合は短時間・高頻度の面会が適している一方、学齢期の子どもであれば学校の予定に合わせた調整が必要になります。
子どもの意見や希望も、年齢に応じて尊重することが大切です。
特に10歳以上の子どもの場合、面会交流に関する本人の意思をより重視する傾向があります。
ただし、子どもが面会を拒否する場合でも、その背景には同居親の影響や誤解がある可能性も考慮する必要があるでしょう。
親同士の対立が激しい場合は、子どもの心理的負担を軽減するために、第三者の立ち会いや専門機関の支援を検討することも有効です。
判断基準 | 具体的な考慮事項 |
---|---|
子どもの年齢・発達段階 | 乳幼児は短時間高頻度、学齢期は学校行事に配慮 |
子どもの意思 | 年齢に応じて意見を尊重(特に10歳以上) |
親の生活環境 | 住居の状況、仕事の都合、新しい家族の有無 |
過去の親子関係 | 別居前の関わり方、愛着関係の強さ |
親同士の関係性 | 対立の程度、コミュニケーション能力 |
子どもの安全 | DV・虐待歴、アルコール、薬物問題の有無 |
面会交流の具体的な取り決め事項
面会交流を円滑に進めるためには、具体的な取り決めを明確にしておくことが重要です。
曖昧な約束は後々トラブルの原因になりかねないため、できるだけ詳細に決めておきましょう。
ここでは、面会交流を行う際に取り決めておくべき主な事項について解説します。
面会の回数と間隔
面会交流の頻度は、子どもの年齢や親の生活状況によって適切な回数が異なります。
一般的には月1~2回程度が多いようですが、乳幼児の場合はより頻繁な面会が望ましいとされています。
子どもが小さいほど記憶が薄れやすいため、短い間隔での面会が親子の絆を維持するのに役立つからです。
面会の間隔が長すぎると子どもが別居親に対して疎遠感を抱く可能性があるため、定期的な交流を心がけましょう。
特に夏休みや冬休みなどの長期休暇中は、普段より長時間の交流が可能になるため、事前に予定を調整しておくと良いでしょう。
また、子どもの誕生日や特別な行事がある場合の面会についても、あらかじめ取り決めておくことをおすすめします。
面会の時間帯と長さ
面会時間は子どもの生活リズムを最優先に考えて設定することが大切です。
学校や習い事のある平日よりも、休日に設定するケースが多いでしょう。
面会の長さについては、子どもの年齢や親子関係の状況によって適切な時間が変わってきます。
乳幼児の場合は2~3時間程度、小学生以上なら半日から1日程度が一般的な目安です。
面会の頻度が少ない場合は、その分長めの時間を設定することで、充実した交流の機会を確保できます。
宿泊を伴う面会については、子どもの年齢や親子関係、別居親の住環境などを考慮して慎重に判断しましょう。
小さな子どもの場合、いきなり一泊するのではなく、日帰りの面会を重ねて慣れてから宿泊に移行するのがおすすめです。
子どもの受け渡し場所と面会場所
子どもの受け渡し場所は、双方が無理なく通える中立的な場所を選ぶのが理想的です。
ファミリーレストランやショッピングモールなど、人目があって安全な公共の場所が適しています。
親同士の関係が良好でない場合は、第三者の立ち会いのもとで受け渡しを行うことも検討しましょう。
面会場所については、子どもの年齢や興味に合わせた場所を選ぶことで、有意義な時間を過ごせます。
遊園地や動物園、映画館など子どもが楽しめる場所や、別居親の自宅で過ごすなど、状況に応じて選択するとよいでしょう。
面会場所を複数パターン決めておくと、その日の天候や子どもの体調に合わせて臨機応変に対応できます。
また、移動にかかる費用や面会時の食事代などの負担についても、あらかじめ取り決めておくことでトラブルを防げます。
第三者の同席の有無
面会交流に第三者が同席するかどうかは、状況に応じて判断する必要があります。
親同士の対立が激しい場合や、DVや虐待の懸念がある場合には、第三者の立ち会いが求められることがあります。
面会交流の経験が少ない親子の場合、最初は支援団体のスタッフなどが同席することで安心して交流を始められるでしょう。
第三者の立ち会いは、子どもの安全を確保しながら面会交流を実現するための重要な選択肢の一つです。
ただし、親子の自然な交流を妨げないよう、状況が改善されれば段階的に第三者の関与を減らしていくことも検討すべきでしょう。
また、別居親が再婚している場合、新しいパートナーを面会に同席させるかどうかも話し合いの対象になります。
子どもが混乱しないよう、新しい家族の紹介は慎重に段階的に行うことが望ましいでしょう。
親子間の連絡手段
面会交流の合間にも親子のつながりを維持するため、日常的な連絡手段を確保することは重要です。
電話やビデオ通話、手紙やメールなど、年齢に応じた適切な方法を選びましょう。
特に遠距離の場合、オンラインでのコミュニケーションは親子関係を維持する大切な手段になります。
連絡の頻度や時間帯についても具体的に決めておくと、子どもの生活リズムを乱さずに交流できます。
たとえば、「毎週日曜の夜7時に10分程度の電話」といった具体的な取り決めがあると互いに安心です。
小さな子どもの場合は、同居親が電話やビデオ通話のサポートをすることも必要になるでしょう。
また、学校の成績表や作品、写真なども定期的に共有することで、別居親が子どもの成長を実感できる機会になります。
学校行事等への参加に関する取り決め
運動会や授業参観、卒業式など、子どもの学校行事への参加も面会交流の重要な一部です。
子どもにとって特別な日に両親が参加することは大きな励みになるでしょう。
学校行事の日程が決まったら早めに情報共有し、両親が参加できるよう調整することが理想的です。
親同士が同じ場にいることで子どもが緊張したり混乱したりしないよう、適切な距離を保つ配慮も必要です。
保護者会や三者面談については、誰が参加するか、または別々に設定してもらうかなど、学校と相談しながら決めるとよいでしょう。
また、子どもの習い事の発表会や試合なども、可能な限り両親が参加できるよう配慮することが大切です。
行事参加の際の写真撮影や、子どもへのプレゼントなどについても、あらかじめルールを決めておくと当日スムーズです。
取り決め事項 | ポイント |
---|---|
面会の回数と間隔 | 子どもの年齢に応じた頻度(月1~2回が一般的) |
面会の時間帯と長さ | 子どもの生活リズムを優先(乳幼児は短時間、学齢児はより長く) |
受け渡し場所と面会場所 | 安全で中立的な場所を選ぶ(公共施設やファミレスなど) |
第三者の同席 | 必要に応じて支援者や専門家の立ち会いを検討 |
連絡手段 | 電話やビデオ通話の頻度や時間帯を具体的に決める |
学校行事への参加 | 子どもの負担にならないよう配慮しつつ両親の参加を調整 |
面会交流方法を定める際の手続き
面会交流を円滑に進めるためには、適切な手続きを踏むことが大切です。
当事者間での話し合いで決めるのが理想的ですが、それが難しい場合は家庭裁判所の手続きを利用することになります。
ここでは、面会交流の方法を定めるための主な手続きについて解説します。
離婚時の協議で取り決める
面会交流の取り決めは、まず離婚協議の段階で話し合うのが一般的です。
離婚後の子どもとの関わり方について、双方が冷静に話し合い合意することが理想的な形といえるでしょう。
協議離婚の場合、面会交流についての取り決めを離婚届に記載する欄はありません。
離婚後のトラブルを防ぐためにも、面会交流の内容は書面にして残しておくことが非常に重要です。
特に公正証書にしておくと、後々の証拠としての効力が高まります。
離婚協議書や公正証書には、前述した具体的な取り決め事項(頻度、時間、場所など)を詳しく記載しましょう。
また、取り決めた内容を変更する必要が生じた場合の手続きについても、あらかじめ決めておくと安心です。

面会交流の調停又は審判を利用する
当事者間の話し合いで合意に至らない場合は、家庭裁判所の調停を利用することになります。
調停では、裁判官と調停委員が間に入り、双方の言い分を聞きながら合意形成を援助します。
離婚後に面会交流で揉めた場合も、まずは調停を申し立てるのが一般的な流れです。
調停では子どもの最善の利益を念頭に置きながら、具体的な面会交流の方法について話し合いが行われます。
調停での合意内容は調停調書に記載され、確定判決と同等の効力を持ちます。
調停が不成立となった場合は、自動的に審判手続きに移行するのが一般的です。
審判では裁判官が職権で調査し、最終的に面会交流の可否や方法について判断を下します。

面会交流の問題で離婚訴訟になることは少ない
面会交流の問題だけで離婚訴訟にまで発展するケースは比較的少ないです。
ただし、離婚裁判の中で面会交流についても争われることはあります。
裁判所は子どもの福祉を最優先に考え、面会交流の可否や方法について判断します。
面会交流の問題は感情的になりやすいため、できるだけ早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
弁護士や家庭問題の専門家のアドバイスを受けることで、より冷静に対応できるでしょう。
近年では面会交流支援団体なども増えており、中立的な立場から面会交流をサポートしてくれるサービスも充実してきています。
何よりも子どもの気持ちを尊重し、子どもに過度な負担をかけないような解決策を模索することが重要です。
手続きの種類 | 特徴 | メリット・デメリット |
---|---|---|
協議離婚での取り決め | 当事者同士で話し合い | ◎自由度が高い △強制力が弱い |
調停 | 裁判所の調停委員が仲介 | ◎専門家の助言が得られる ◎調停調書に法的効力 |
審判 | 裁判官が判断 | ◎強制力がある △当事者の意向が反映されにくい |
離婚訴訟 | 裁判所での争い | ◎最終的な解決手段 △時間と費用がかかる |
面会交流調停の基礎知識
面会交流について当事者間で合意できない場合、家庭裁判所の調停手続きを利用することになります。
調停は話し合いによる解決を目指す手続きですが、調停が不成立となった場合は審判に移行します。
ここでは、面会交流の調停と審判について、その手続きの流れや特徴を解説します。
面会交流の調停について
面会交流の調停は、家庭裁判所に「子の監護に関する処分 (面会交流) 調停申立書」を提出することで始まります。
申立ての費用は収入印紙1,200円と連絡用の郵便切手数百円程度と比較的安価です。
調停の申立ては、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に行うのが原則となります。
調停では裁判官1名と調停委員2名が立ち会い、双方の言い分を聞きながら合意形成を支援します。
調停委員は一般市民から選ばれた非常勤の国家公務員で、家庭問題に関する知識や経験を持つ方々です。
調停の進め方としては、まず申立人と相手方が別々の部屋で待機し、交互に調停室に呼ばれて話をする「交互面接方式」が一般的です。
調停は原則として非公開で行われ、プライバシーが守られる環境で話し合いができます。
調停で合意ができれば「調停調書」が作成され、これは裁判の確定判決と同等の効力を持ちます。
面会交流の審判について
調停で合意に至らなかった場合、審判手続きに移行します。
審判では裁判官が職権で調査を行い、最終的な判断を下します。
必要に応じて、家庭裁判所調査官による調査が行われることもあります。
家庭裁判所調査官は心理学や社会福祉の専門家で、子どもの状況や親子関係を専門的な視点から評価します。
場合によっては子どもと直接面接して意見を聴くこともあるため、子どもの気持ちが手続きに反映されやすくなります。
調停と異なり、審判は裁判官が職権によって判断するため、当事者の意向が必ずしも反映されるわけではありません。
審判の結果に不服がある場合は、審判書の正本を受け取った日から2週間以内に即時抗告することができます。
審判で決定された面会交流の内容にも法的な拘束力があり、正当な理由なく拒否することはできません。
項目 | 調停 | 審判 |
---|---|---|
主導者 | 調停委員と裁判官 | 裁判官 |
当事者の関与 | 話し合いによる合意形成 | 意見は聴くが最終判断は裁判官 |
専門家の関与 | 必要に応じて調査官が関与 | 調査官による調査が一般的 |
結果の形式 | 調停調書 | 審判書 |
不服申立て | 原則としてできない | 即時抗告可能(2週間以内) |
所要期間 | 3〜6か月程度 | 調停後さらに3〜6か月程度 |
面会交流の請求が可能な期間とは?
面会交流は子どもの健全な成長にとって重要な権利ですが、いつまで請求できるのかについて疑問を持つ方も多いでしょう。
この権利には法律上の期限が設けられており、子どもの年齢によって面会交流の請求可能期間が決まります。
ここでは、面会交流の請求が可能な期間について詳しく解説します。
面会交流は子どもが20歳になるまで可能
面会交流権は、子どもが成人するまで行使できる権利です。
民法の規定により、子どもが20歳になるまでは親権または監護権に基づく面会交流の請求が可能です。
ただし、2022年4月の民法改正により成人年齢が18歳に引き下げられましたが、面会交流に関しては20歳までという解釈が一般的です。
面会交流の対象となる「子ども」とは、法律上未成年(20歳未満)の子どもを指します。
子どもが20歳に達すると親権が終了するため、法律上の面会交流請求権も終了すると考えられています。
とはいえ、子どもが成人した後も親子の交流は自由意思に基づいて続けることができます。
年齢を重ねるにつれて子ども自身の意思がより尊重されるようになり、特に中学生以上になると本人の意向が重視されます。
10代後半の子どもが明確に面会を拒否している場合、裁判所も面会交流を認めないケースが増えてきています。
子どもの成長に合わせて面会交流の方法も変化させていくことが、長期的な親子関係の維持には重要です。
幼い頃は遊び中心の交流でも、成長するにつれて会話や相談など精神的なつながりを重視した交流へと自然に変化していくでしょう。
子どもの年齢 | 面会交流の特徴 | 注意点 |
---|---|---|
0〜6歳 | 短時間・高頻度の交流が理想的 | 生活リズムや愛着形成に配慮 |
7〜12歳 | 遊びや体験を通した交流 | 学校行事や習い事との調整 |
13〜19歳 | 子どもの意思をより尊重 | 交友関係や部活動を優先することも |
20歳以上 | 法的な面会交流権は終了 | 双方の自由意思による交流へ |
面会交流を拒否できるケースとは
面会交流は原則として子どもの権利であり親の義務ですが、例外的に拒否が認められるケースもあります。
ただし、単に「会いたくない」という感情的な理由だけでは拒否する正当な理由にはなりません。
ここでは、面会交流を拒否できる具体的なケースについて解説します。
子どもの予定が合わない場合
面会交流の予定と子どもの重要な行事が重なった場合は、一時的に面会を延期できる正当な理由となります。
学校行事や部活動の大会、習い事の発表会など、子どもにとって重要な予定を優先することは合理的です。
また、子どもの体調不良なども面会交流を延期する正当な理由になります。
予定の衝突が生じた場合は、できるだけ早く相手方に連絡し、代替日を提案することが望ましいでしょう。
このようなケースは面会交流の「拒否」というより「延期」と捉えるべきもので、子どもの都合を考慮した柔軟な対応が求められます。
ただし、常に何らかの理由をつけて面会交流を先延ばしにするようなケースは、裁判所から不当な面会交流妨害と判断される可能性があります。
子どもの予定を理由にする場合は、その予定が本当に重要なものかどうか客観的に判断する必要があるでしょう。
面会交流をそもそもしない場合
面会交流が子どもに悪影響を及ぼす恐れがある場合は、そもそも面会交流を認めないという判断がなされることもあります。
たとえば、DVや虐待の履歴がある場合、別居親にアルコールや薬物依存の問題がある場合などは重大な懸念事項です。
また、子どもに対する過度な暴言や精神的虐待の事実がある場合も面会交流が制限される可能性があります。
面会交流が子どもの福祉を著しく害する具体的な証拠がある場合は、裁判所も面会交流を制限する判断をすることがあります。
このようなケースでは、完全な面会禁止ではなく、第三者の立ち会いのもとでの面会や、公共の場所での限定的な面会などの条件付きで認められることもあります。
ただし、「元配偶者が嫌い」「養育費を払っていない」といった理由だけでは、面会交流を拒否する正当な理由にはなりません。
面会交流の是非を判断する際には、常に「子どもの最善の利益」が最優先されるべき基準となります。
子どもが面会を拒否する時の対応
子ども自身が面会交流を拒否している場合は、その背景や理由を慎重に検討する必要があります。
特に年長の子どもの場合、その意思はより尊重される傾向にあります。
子どもが拒否する理由としては、別居親に対する恐怖心や不安、同居親への気遣い、別居親との関係性の希薄さなどが考えられます。
子どもの拒否感が強い場合、無理に面会を強制すると心理的な負担となり、かえって親子関係の悪化を招くことがあります。
こうしたケースでは、まずは手紙やプレゼントの交換から始め、徐々に関係を構築していくといった段階的なアプローチが効果的でしょう。
また、子どもが同居親の影響で面会を拒否しているケースも少なくありません。
このような場合、家庭裁判所の調査官による調査や、家族療法の専門家による介入が必要になることもあります。
子どもの拒否感が強い場合でも、完全に面会交流を断絶するのではなく、状況に応じた適切な交流方法を模索することが重要です。
拒否の種類 | 考えられる理由 | 対応策 |
---|---|---|
一時的な延期 | 学校行事、体調不良など | 代替日の設定、柔軟な日程調整 |
面会自体の拒否 | DV、虐待歴、依存症問題など | 第三者立会いでの面会、段階的な交流 |
子どもの拒否 | 恐怖心、不安、関係の希薄さ | 無理強いせず、手紙など間接的な交流から |

面会交流と養育費の関係性
離婚後の子どもに関わる問題として、面会交流と養育費は特に重要な2つの要素です。
この2つは本来別々の問題ですが、実際には互いに影響し合うことが少なくありません。
ここでは、面会交流と養育費の法的な関係性や実務上の取り扱いについて解説します。

養育費と面会交流は別問題として扱われる
法律上、面会交流と養育費は別個の問題として扱われています。
養育費の不払いを理由に面会交流を拒否したり、逆に面会交流を認めないことを理由に養育費の支払いを拒んだりすることは認められません。
養育費は子どもの生活や教育のために必要な費用であり、親としての経済的義務です。
面会交流と養育費は子どもの福祉のための別々の権利・義務であり、互いに条件付けるものではありません。
裁判所も「養育費を払っていないから面会させない」という主張は認めていません。
同様に「面会させてもらえないから養育費を払わない」という主張も認められません。
両者を混同することは、結果的に子どもを取引材料にするようなものであり、子どもの福祉の観点から問題があります。
しかし現実には、感情的な対立から面会交流と養育費が関連付けられてしまうケースが少なくありません。
たとえば、「養育費を払ってくれないから会わせない」「会わせてもらえないから養育費を払わない」といった主張は珍しくないのが実情です。
こうした状況では、当事者間の話し合いだけでは解決が難しく、弁護士や家庭裁判所の調停を利用することが望ましいでしょう。
実務上は、面会交流と養育費の問題を同時に解決することで、互いの協力を促す効果も期待できます。
面会交流がスムーズに行われることで、非監護親の養育費支払いに対するモチベーションが高まるという調査結果もあります。
逆に、養育費がきちんと支払われていると、監護親も面会交流に協力的になりやすい傾向があるようです。
両者の問題を建設的に解決するためには、「子どもの最善の利益」を中心に考え、親同士が協力関係を築くことが大切です。
よくある誤解 | 法的な考え方 |
---|---|
養育費を払わないから面会させない | 養育費と面会交流は別問題。 面会拒否の正当な理由にならない |
面会させないから養育費を払わない | 養育費は子どもへの義務。 面会できないことは免除理由にならない |
養育費を多く払うから面会回数を増やしてほしい | 養育費の額と面会頻度は直接関連しない |
養育費を減額するなら面会回数も減らす | 経済状況と面会交流は別の問題として考慮される |
相手が面会交流を拒否された場合の対処法
面会交流を求めているのに相手方から拒否されるケースは少なくありません。
そんな時、どのような対応が可能なのでしょうか。
ここでは、面会交流を拒否された場合の具体的な対処法について解説します。
強制執行の手続きが可能
相手方が面会交流を拒否する場合、調停や審判で決まった内容に強制力を持たせる手段として「間接強制」の手続きがあります。
間接強制とは、面会交流を拒む相手に対して、従わない場合は制裁金を課すという制度です。
これには裁判所で確定した「債務名義」が必要となるため、まずは調停や審判で面会交流についての取り決めを行うことが前提です。
2013年の民事執行法改正により、面会交流についても間接強制が認められるようになりました。
間接強制の申立ては、相手方の住所地を管轄する地方裁判所に行います。
裁判所は審理の上、相手方に「面会交流を認めないと〇万円の制裁金を支払う」という命令を出すことがあります。
ただし、間接強制には限界もあり、相手が制裁金を払ってでも面会を拒否する可能性もあります。
また、子どもが面会を強く拒否している場合など、状況によっては間接強制が適切でないケースもあるでしょう。
面会交流の問題は弁護士に依頼するのが効果的
面会交流の問題は感情的な対立が絡むことが多く、当事者同士での解決が難しいケースが少なくありません。
そのため、家族法に詳しい弁護士に相談することが効果的な解決につながります。
弁護士は法的知識を持ちながら冷静な立場から問題解決に取り組み、適切な手続きを進めてくれます。
弁護士に依頼することで、感情的になりがちな交渉を客観的かつ効果的に進められるメリットがあります。
また、面会交流の拒否が続く場合、弁護士は状況に応じて様々な法的手段を提案してくれるでしょう。
たとえば、面会交流の具体的な方法について再度調停を申し立てたり、間接強制の手続きを進めたりといった対応が考えられます。
弁護士には法律相談だけでなく、相手方との交渉や書面作成、調停・審判の代理人など様々な役割を依頼できます。
特に面会交流が長期間実現していない場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
離婚弁護士がおすすめコンテンツ
面会交流の問題を抱えている方には、離婚や親権問題を専門とする弁護士への相談がおすすめです。
家族法に詳しい弁護士は、面会交流に関する最新の判例や実務の知識を持っています。
離婚問題を得意とする弁護士事務所では、無料相談や初回相談割引などのキャンペーンを実施していることも多いです。
面会交流の問題は早期解決が重要なため、状況が深刻化する前に専門家に相談することが望ましいでしょう。
弁護士に相談する際は、これまでの経緯を時系列でまとめたり、関連する書類を用意したりすると効率的です。
地域の法律相談センターや日本司法支援センター(法テラス)でも、面会交流に関する相談を受け付けています。
また、面会交流支援を行う民間団体もあり、専門的な知識を持ったスタッフが交流をサポートしてくれるサービスもあります。
面会交流の問題は一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら子どもの福祉を最優先に考えた解決策を探していきましょう。
対処法 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
弁護士への相談 | 専門的なアドバイス、感情的にならない交渉 | 費用がかかる |
調停の申立て | 第三者が間に入り話し合い、法的効力がある | 時間がかかる場合がある |
間接強制 | 強制力がある、制裁金による圧力 | 子どもの福祉を考慮する必要がある |
面会交流支援団体の利用 | 専門スタッフのサポート、中立的な立場 | 地域によりサービスの有無に差がある |

よくある質問
面会交流権に関して、多くの方が疑問に思うことをQ&A形式でまとめました。
具体的な悩みの解決にお役立てください。
- 面会交流権は法的にどのような性質を持つ権利ですか?
- 面会交流権は誰のため権利と考えられているのですか?
- 祖父母にも面会交流権は認められますか?
- 面会交流を拒否できる正当な理由はありますか?
- 面会交流の標準的な頻度はどのくらいですか?
- 面会交流のルールや条件の例を教えてください。
- 子どもが面会交流を嫌がる場合はどうすればよいですか?
- 面会交流と養育費の支払いは関連していますか?
- 面会交流の取り決めは公正証書にした方がよいですか?
- 面会交流調停が不成立になった場合の対応を教えてください。
まとめ
面会交流権は離婚や別居後も親子の絆を維持するための重要な権利です。
この権利は別居親のためだけでなく、子ども自身の健全な成長のためにも欠かせないものとして法律で保障されています。
面会交流を円滑に進めるためには、具体的な取り決めを行い、書面化しておくことが大切です。
当事者間で合意できない場合は、家庭裁判所の調停や審判を利用することができます。
面会交流と養育費は法律上別の問題ですが、実際には互いに影響し合うことも少なくありません。
面会交流が拒否された場合は、弁護士に相談するなど専門家の力を借りることが効果的な解決につながるでしょう。
最も重要なのは、親同士の感情的対立よりも「子どもの最善の利益」を優先することです。
子どもの年齢や状況に応じた適切な面会交流を実現することで、離婚や別居後も子どもが両親から愛情を受け、健やかに成長できる環境を整えることができます。