養育費減額の条件とは?減額が認められる理由と手続きの流れ

養育費の支払いが厳しくなり、「減額できないか」と悩んでいる方は少なくありません。
しかし、養育費を勝手に減額すると財産差し押さえなどの深刻な事態を招く恐れがあります。
一方で、収入の大幅な減少や新たな扶養家族の増加など、正当な理由がある場合は養育費の減額が認められるケースもあるのです。
では、養育費の減額請求はどのような条件で認められるのでしょうか?
当記事では、養育費の減額が認められる条件や請求方法について詳しく解説していきます。
養育費の減額について不安を抱えている方でも理解できるよう、手続きの流れや必要な条件を一つずつ丁寧に説明していきます。
養育費の減額請求は可能なのか?
離婚後の生活環境や収入状況が変わると、当初決めた養育費の支払いが難しくなることがあります。
結論からいうと、正当な理由があれば養育費の減額請求は可能です。
しかし、自分の判断だけで勝手に減額したり支払いを止めたりすると、法的に重大な問題を引き起こすことになります。
養育費は子どもの生活を支えるための大切なお金であり、法的な取り決めに基づいて支払う義務があるからです。
この記事では、養育費の減額が認められる条件や具体的な請求方法について詳しく解説していきます。
養育費を勝手に減額すると財産が差し押さえられる可能性がある
養育費の支払いが厳しくなったからといって、独断で減額や支払い停止をすることは絶対に避けるべきです。
なぜなら、養育費は法的な債務であり、勝手に減額すると財産差し押さえなどの強制執行の対象になる可能性があるからです。
特に養育費の取り決めが公正証書で作成されている場合、元配偶者は裁判所を通じて以下のような法的措置を取ることができます。
- 給与の差し押さえ
- 銀行口座の凍結
- 不動産や自動車などの財産の差し押さえ
- 養育費未払いによる信用情報への影響
さらに、養育費の未払いが続くと、子どもとの面会交流にも悪影響を及ぼす可能性があります。
裁判所は「養育費を支払わない親に子どもに会う権利はない」と判断するケースもあるのです。
養育費の支払いが困難になった場合は、必ず正式な手続きを踏んで減額請求を行うようにしましょう。
次の章では、養育費の減額が認められる条件について具体的に見ていきます。

養育費の減額が認められる条件とは?
養育費の減額が認められるためには、支払いが困難になった「正当な理由」が必要です。
裁判所は、単なる「支払いたくない」という意向だけでは減額を認めません。
以下では、養育費の減額が認められる主な条件について詳しく解説します。
支払い側に新たな扶養家族が増えた場合
再婚して新しい家族を持つと、生活費の負担が増えることがあります。
このような状況は、養育費の減額が認められる典型的なケースの一つです。
特に以下のような場合は、減額の可能性が高くなります。
- 再婚により新しい子どもが生まれた
- 再婚相手に連れ子がいて扶養することになった
- 親の介護が必要になり経済的負担が増えた
ただし、再婚したからといって必ずしも減額が認められるわけではありません。
例えば、再婚相手の収入が十分にあり家計に余裕がある場合は、減額請求が認められないこともあります。
裁判所は総合的な経済状況を考慮した上で判断を下します。
支払い側の収入が減少した場合
仕事の事情で収入が大幅に減少した場合も、減額請求の正当な理由になり得ます。
特に以下のような状況では、裁判所が減額を認める可能性が高くなります。
- 会社の業績悪化による給与カット
- リストラや倒産による転職で収入が下がった
- 病気やケガで働けなくなり収入が激減した
- 自己都合ではない理由による収入減少
ここで重要なのは、収入減少が自分の意思によるものではないという点です。
例えば、会社の倒産や病気など、やむを得ない事情で収入が減った場合は減額が認められやすくなります。
反対に、自分の都合で高収入の仕事を辞めて収入の少ない仕事に転職した場合は、減額請求が認められない可能性が高いでしょう。
子どもが再婚相手と養子縁組を結んだ場合
元配偶者が再婚し、子どもがその再婚相手と養子縁組を結んだ場合、状況が大きく変わります。
養子縁組が成立すると、子どもは法律上、再婚相手の子どもとなるため、養育費の支払い義務が消滅するケースがあります。
養子縁組には以下の2種類があり、それぞれで法的効果が異なります。
養子縁組の種類 | 養育費への影響 |
---|---|
普通養子縁組 | 実親と子の法的関係は残るため、養育費支払い義務も原則として継続 |
特別養子縁組 | 実親と子の法的関係が消滅するため、養育費支払い義務も消滅 |
普通養子縁組の場合でも、再婚相手が十分な収入を持ち子どもを経済的に支えられる状況であれば、養育費の減額や免除が認められることもあります。
ただし、養育費の減額を希望する場合は、公正証書の内容変更や調停など、正式な手続きが必要です。
受け取る側の収入が増加した場合
元配偶者(子どもと同居する親)の経済状況が大幅に改善した場合も、養育費の減額理由になります。
以下のような状況では、養育費の減額が検討される可能性があります。
- 離婚後に正社員として就職し収入が増えた
- 昇進や転職によって大幅な収入アップがあった
- 再婚して家計状況が改善した
- 相続や贈与などで経済的な余裕ができた
養育費は子どもの生活水準を維持するためのものであり、両親がそれぞれの経済力に応じて負担するという考え方が基本です。
したがって、養育費を受け取る側の経済状況が大きく改善した場合、支払う側の負担を見直すことが公平と判断されることがあります。
ただし、元配偶者の収入増加を理由に自己判断で養育費を減額することはできません。
必ず話し合いや調停などの正式な手続きを踏むことが重要です。

養育費の減額請求しても認められないケース
養育費の減額を希望しても、すべての場合に認められるわけではありません。
ここでは、減額請求が認められにくいケースについて解説します。
相場より高い金額で養育費を取り決めていた場合
離婚時に法的な相場よりも高額な養育費を設定していた場合、後になって「相場通りにしたい」という理由での減額は認められにくいです。
養育費の取り決めは当事者間の合意に基づくものであり、その合意時点での意思を尊重するという考え方が基本になります。
つまり、離婚時に「子どもに十分な環境を与えたい」という意図で高額な養育費に合意したなら、その意思決定は重視されます。
相場を上回る金額に合意した背景には、以下のような理由があることが多いでしょう。
- 子どもの教育費を含めて設定していた
- 離婚の慰謝料の一部として上乗せしていた
- 財産分与を養育費に含めて設定していた
こうした事情がある場合、単に「標準的な相場に合わせたい」という理由だけでは減額請求は通りにくいでしょう。
減額を求めるなら、収入の大幅な減少など、新たな事情変更が必要になります。
自分の都合で退職し収入が減少した場合
自己都合で高収入の仕事を辞め、収入が減少した場合も減額請求は認められにくいです。
特に以下のようなケースでは、裁判所から「養育費逃れ」と判断される可能性があります。
- 給与の高い正社員から収入の少ないアルバイトに転職した
- 特に理由なく退職して無職になった
- 能力や経験に見合わない低賃金の仕事を選んだ
裁判所は「収入を得る能力(稼働能力)」という観点から判断することがあります。
つまり、本来なら得られるはずの収入を意図的に減らしているとみなされれば、減額請求は認められないのです。
養育費の減額が認められるのは、会社の倒産や病気など、自分の意思によらない理由で収入が減少した場合がほとんどです。
面会交流の頻度が少ない・拒否されている場合
子どもとの面会交流が少ない、あるいは全く行っていない場合も、養育費の減額請求が認められにくいケースです。
法律上、面会交流と養育費は別の問題として扱われるからです。
「会わせてもらえないから養育費を払わない」という主張は、以下の理由から認められません。
- 養育費は子どもの生活のために支払うもの
- 面会交流と養育費は法的に別の問題
- 子どもの福祉を最優先する裁判所の姿勢
むしろ、養育費を滞納している親に対して面会交流を制限する判断が下されることもあります。
養育費と面会交流の問題は別々に解決すべきです。
面会交流に問題がある場合は、別途調停などの手続きを通じて解決を図りましょう。

経営者やフリーランスで収入の操作が可能な場合
自営業者や会社経営者、フリーランスなど、自分で収入をコントロールできる立場にある場合も注意が必要です。
以下のようなケースでは、減額請求が厳しく審査されます。
- 会社の売上は変わらないのに役員報酬だけ下げた
- 個人事業の経費を増やして所得を意図的に減らした
- 資産はあるのに収入だけを少なく見せている
裁判所は表面上の収入だけでなく、生活実態や資産状況なども含めて総合的に判断します。
例えば、高級車に乗っていたり豪華な旅行に行ったりしているのに「収入が減った」と主張しても、信用されない可能性が高いでしょう。
減額請求を行う際は、収入減少が意図的なものではないことを客観的な資料で証明する必要があります。
収入状況を正確に反映した確定申告書や決算書などの提出が求められるでしょう。
養育費を減額するための請求方法
養育費の減額を希望する場合、正しい手順で進めることが大切です。
ここでは、養育費を減額するための具体的な手続き方法を解説します。
まずは当事者間で話し合う
養育費の減額を考える場合、第一に試すべきなのは元配偶者との直接交渉です。
裁判所での手続きは時間とコストがかかるため、まずは話し合いで解決できないか検討しましょう。
話し合いを進める際のは以下の通りです。
- 減額の理由を具体的に説明する
- 収入減少を示す客観的な資料を用意する
- 相手の立場も考慮した金額を提案する
- 感情的にならず冷静に話し合う
例えば「会社の業績悪化で給与が30%カットされたため、養育費も同じ割合で減額してほしい」といった具体的な提案が効果的です。
また、給与明細や源泉徴収票など、収入減少を証明できる書類も必ず用意しましょう。
話し合いの際は「子どもの利益」を最優先に考える姿勢を示すことが重要です。
合意した内容は公正証書として残しておく
話し合いで合意に達したら、その内容を書面に残しておくことが重要です。
特におすすめなのが公正証書の作成です。
公正証書には以下のようなメリットがあります。
- 法的な証拠力が高い
- 支払いが滞った場合に強制執行できる
- 後々のトラブルを防止できる
公正証書の作成には公証役場に行く必要があり、手数料が発生します。
手数料は養育費の金額によって変わりますが、一般的に5,000円〜15,000円程度です。
この費用は当事者間で折半するケースが多いですが、どちらが負担するかも事前に話し合っておくとよいでしょう。
養育費の減額調停の申立て
話し合いで合意に至らなかった場合は、家庭裁判所に「養育費減額調停」を申し立てます。
調停とは、裁判所の調停委員を交えて話し合いを行う手続きです。
調停の申立ては、相手方(元配偶者)の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。
調停を申し立てる際に必要な書類は主に以下の通りです。
- 調停申立書
- 戸籍謄本(子どもと自分のもの)
- 収入を証明する書類(源泉徴収票や給与明細など)
- 減額を求める理由を証明する資料
- 現在の養育費に関する書類(公正証書や調停調書など)
調停申立ての費用は、収入印紙1,200円と郵便切手(裁判所によって金額が異なる)です。
申立てが受理されると、1〜2ヶ月後に第1回目の調停期日が設定されます。
調停は平均3〜4回程度行われ、期間としては3〜6ヶ月ほどかかるのが一般的です。
調停が不成立した場合は審判へ移行する
調停で双方の合意が得られなかった場合、手続きは自動的に「審判」へ移行します。
審判とは、裁判官が家庭裁判所調査官の調査結果などをもとに、法的な判断を下す手続きです。
審判の特徴は以下の通りです。
- 調停と違い、当事者の合意は必要ない
- 裁判官が法的な基準に基づいて判断する
- 審判の内容に不服がある場合は即時抗告できる
審判では、減額を求める側が「事情変更があったこと」を証明する必要があります。
具体的な収入減少の証拠や新たな扶養家族の存在を示す書類など、客観的な資料を揃えることが重要です。
審判手続きは調停よりも時間がかかり、通常6ヶ月〜1年程度を要します。
養育費の減額請求が認められたケース
実際に養育費の減額が認められた事例を見てみましょう。
ケース | 減額前 | 減額後 | 理由 |
---|---|---|---|
会社倒産 | 月5万円 | 月3万円 | 会社倒産により収入が40%減少 |
再婚・子ども誕生 | 月6万円 | 月4万円 | 再婚して子どもが生まれ扶養家族が増加 |
病気による休職 | 月8万円 | 月4万円 | 重い病気で長期休職し収入が半減 |
これらの事例に共通するのは、減額の理由が「自分の意思によらない事情変更」である点です。
また、収入減少を客観的に証明できる資料(診断書、雇用契約書、給与明細など)を提出できたことも重要なポイントです。
養育費の減額を認められるには、正当な理由と十分な証拠が必要であることを忘れないようにしましょう。
養育費減額調停の基本的な流れ
養育費の減額調停を申し立てたら、どのような手続きが待っているのでしょうか。
ここでは、調停の進め方や必要な準備について詳しく解説します。
養育費減額調停で必要となる書類
調停を円滑に進めるためには、事前に必要書類をしっかり準備しておくことが重要です。
養育費減額調停に必要な書類は主に以下の通りです。
- 調停申立書(家庭裁判所で入手可能)
- 戸籍謄本(申立人と子どものもの)
- 住民票(申立人と子どものもの)
- 収入を証明する書類(源泉徴収票、給与明細、確定申告書など)
- 現在の養育費の取り決め書(公正証書、調停調書など)
- 減額を求める理由を証明する書類(診断書、解雇通知書など)
- 家計の支出状況がわかる資料(家計簿、公共料金の領収書など)
特に重要なのは、現在の経済状況を客観的に示す資料です。
例えば、転職して収入が減った場合は、前職と現職の給与明細を比較できるようにしておくとよいでしょう。
病気で働けなくなった場合は、医師の診断書や休職証明書なども有効な証拠になります。
これらの書類は原本だけでなく、相手方や裁判所用にコピーも準備しておくと安心です。
養育費減額調停を申し立てる際の費用負担
調停を申し立てる際には、いくつかの費用が発生します。
主な費用は以下の通りです。
費用項目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
収入印紙 | 1,200円 | 調停申立書に貼付 |
連絡用郵便切手 | 約3,000〜5,000円 | 裁判所によって金額が異なる |
戸籍謄本取得費 | 約450円/通 | 必要通数分 |
住民票取得費 | 約300円/通 | 必要通数分 |
交通費 | 実費 | 裁判所への往復費用 |
弁護士に依頼する場合は、別途弁護士費用がかかります。
弁護士費用の相場は以下の通りです。
- 着手金:10〜30万円
- 成功報酬:減額に成功した場合に発生(金額や条件は弁護士により異なる)
- 相談料:30分〜1時間あたり5,000〜10,000円程度
弁護士費用が気になる場合は、法テラスの無料法律相談や弁護士会の相談窓口を活用するという方法もあります。
収入が一定基準以下であれば、法テラスの民事法律扶助制度を利用して弁護士費用の立替えを受けられる可能性もあります。

養育費減額調停は弁護士なしでも可能か?
結論から言えば、養育費の減額調停は弁護士なしでも申し立て可能です。
家庭裁判所の書記官が書類の書き方などをアドバイスしてくれるため、基本的な手続きは自分で行うことができます。
しかし、以下のようなケースでは弁護士への依頼を検討した方がよいでしょう。
- 元配偶者との関係が非常に悪く、直接対峙するのが精神的に難しい
- 相手が弁護士を立てている
- 減額を求める理由が複雑で説明が難しい
- 法律的な知識や主張の組み立てに自信がない
弁護士のサポートがあると、以下のようなメリットがあります。
- 法的に有効な主張を整理してくれる
- 必要な証拠書類を的確に指示してくれる
- 調停の場で感情的にならず冷静に交渉してくれる
- 相手の弁護士と対等に議論できる
費用面で弁護士依頼を迷う場合は、初回無料相談を実施している弁護士事務所も多いので、まずは相談だけしてみるのもよいでしょう。
養育費減額調停で確認されること
養育費減額調停では、主に以下の点について確認・審査されます。
- 養育費減額を求める理由(事情変更の有無)
- 現在の収入状況と支出状況
- 子どもの年齢や教育費などの必要経費
- 相手方(元配偶者)の収入状況
- 双方の家族構成や扶養家族の状況
調停では「養育費算定表」が参考基準として使われますが、これは義務的なものではなく、個々の事情に応じた調整が行われます。
例えば、子どもに特別な医療費や教育費がかかる場合は、標準的な金額より多めに設定されることもあります。
また、減額の理由が一時的なものか継続的なものかという点も重要な判断材料になります。
例えば、一時的な病気による収入減少であれば、完全な減額ではなく、一定期間の支払い猶予という形になるケースもあります。
調停では、基本的には双方が納得できる合意を目指しますが、それが難しい場合は審判に移行して裁判官の判断を仰ぐことになります。
養育費減額で弁護士に依頼する3つのメリット
養育費の減額請求は自分で行うことも可能ですが、弁護士に依頼するメリットは少なくありません。
ここでは、弁護士に依頼することで得られる主な利点を解説します。
弁護士に依頼することで得られる最大のメリットは、専門的知識と経験による適切なサポートです。
弁護士は数多くの養育費減額案件を扱った経験から、成功しやすい交渉方法を知っています。
- メリット1:専門的な法律知識で適切な主張ができる
- メリット2:感情的になりがちな交渉を冷静に進められる
- メリット3:証拠の収集と整理を効率的に行える
まず、弁護士は法律の専門家として、どのような事情なら減額が認められやすいかを熟知しています。
例えば、「再婚して子どもが生まれた」という事実だけでなく、「それによって家計がどう変化したか」を具体的な数字で示すことの重要性を理解しています。
また、元配偶者との交渉は感情的になりがちです。
特に離婚時の感情が残っている場合、冷静な話し合いが難しいことも少なくありません。
弁護士は感情を排除し、法的観点から最適な解決策を提案できます。
さらに、減額請求には適切な証拠資料が必要不可欠です。
弁護士はどのような証拠が有効か、どこからどのように入手すべきかを的確にアドバイスしてくれます。
例えば、単に「収入が減った」と主張するだけでなく、その理由やどの程度減少したかを客観的に示す資料を整理してくれるのです。
弁護士費用は決して安くありませんが、養育費は長期間にわたって支払うものです。
数年分の減額額を考えれば、弁護士費用は十分に回収できる可能性があります。
また、多くの弁護士事務所では初回相談無料のサービスを提供しているため、まずは相談だけしてみるという方法もあります。

弁護士に依頼したことによって養育費減額に成功した事例
実際に弁護士に依頼して養育費の減額に成功したケースを紹介します。
これらの事例から、どのような状況で減額が認められやすいかを理解する参考になるでしょう。
事例1: 会社倒産による収入減少で月5万円から3万円に減額
Aさん(42歳)は、勤務していた会社の倒産により転職を余儀なくされました。
前職では年収600万円でしたが、転職後は年収380万円と大幅に収入が減少しました。
Aさんは弁護士に相談し、以下の証拠資料を準備しました。
- 会社の倒産を証明する新聞記事
- 前職と現職の源泉徴収票(収入減少の証明)
- 転職活動の記録(より高収入の仕事を探していた努力)
弁護士は「自己都合ではない収入減少」という点を強調し、調停で月5万円から3万円への減額に成功しました。
事例2: 再婚と第二子誕生で月6万円から4万円に減額
Bさん(38歳)は再婚して新しい子どもが生まれ、家計の負担が増加しました。
前妻との間の子どもへの養育費は月6万円でしたが、新しい家族の生活費も考慮すると負担が大きすぎる状況でした。
弁護士のアドバイスで以下の資料を準備しました。
- 新しい子どもの出生証明書
- 家計簿(支出状況の詳細な記録)
- 住宅ローンなどの固定支出の証明書類
弁護士は「収入は変わっていなくても扶養家族が増えた」という事情変更を丁寧に説明し、月4万円への減額が認められました。
事例3: 病気による長期療養で一時的な支払い猶予を獲得
Cさん(45歳)は重い病気で長期入院することになり、休職中のため収入が激減しました。
月8万円の養育費が支払えない状況でしたが、一方的に支払いを止めることは避けたいと考えていました。
弁護士に依頼し、以下の資料を準備しました。
- 医師の診断書
- 休職証明書
- 傷病手当金の支給額証明
- 回復後の職場復帰予定を示す書類
弁護士の交渉により、6ヶ月間の支払い猶予と、その後の月4万円への減額が認められました。
どの事例でも共通するのは、「減額の理由が自分の意思によらないものである」「客観的な証拠で裏付けられている」という点です。
また、弁護士が法的観点から説得力のある主張を組み立て、冷静に交渉したことが成功の鍵となっています。
養育費の減額を検討している方は、これらの事例を参考にしながら、自分の状況に合った対応を考えてみるとよいでしょう。
よくある質問
養育費の減額に関して、多くの方が疑問や不安を抱えています。
ここでは、よくある質問にお答えします。
- 住宅ローンの返済が厳しいことを理由に、養育費の減額は可能ですか?
- 引越しで家賃が上がり生活が苦しいです。養育費の減額請求は認められますか?
- 仕事の負担に耐えられず退職しましたが、新しい職が見つかりません。養育費の減額は可能ですか?
- 元配偶者が養育費の減額に応じない場合、どのような方法で交渉できますか?
- 養育費減額調停で却下される一般的な理由について教えてください。
- 再婚した場合、養育費はどのように変わる可能性がありますか?
- 公正証書で決めた養育費を相手が減額させないようにする方法はありますか?
- 養育費減額調停は弁護士なしで申し立てできますか?
- 養育費減額調停が不成立になった場合、次の流れについて教えてください。
- 養育費の減額請求で成功するための相場や計算方法はありますか?
まとめ
養育費の減額請求は、正当な理由があれば認められる可能性があります。
収入の大幅な減少や新たな扶養家族の増加など、自分の意思によらない事情変更が重要なポイントです。
しかし、勝手に減額すると財産差し押さえなどの法的措置を取られる恐れがあるため注意が必要です。
減額を希望する場合は、まず当事者間での話し合いを試み、それがうまくいかなければ調停という流れが一般的です。
調停では収入減少や家計状況を証明する客観的な資料を準備することが重要になります。
弁護士に依頼すれば専門的な知識と経験によるサポートが得られ、成功率が高まる可能性があります。
養育費は子どもの生活を支えるための重要なお金です。減額を検討する際も、子どもの利益を最優先に考える姿勢を持ちましょう。